
♂の羽化
蛹になり3〜4週間程経って茶色く色づくと、やがて羽化が始まる。
羽化直後の成虫は頭部が折れ曲がり、上翅は白く下翅も伸びたままだが、半日程経つと、頭部が持ち上がり上翅もオレンジ色に変わる。
体が完全に黒く固まり、蛹室から脱出するまでには30〜40日かかり、それまではエサを取らずに蛹室内でじっとしている。

羽化して数日の成虫はまだ交尾器が外に出ていたり、体も茶色く完全に固まっていないので、取り出さないようにする。
無理に取り出すと、体に傷がついたり、雑菌により死亡してしまうこともある。
30〜40日程経って体が黒く固まってくると、やがて自分で蛹室から脱出するので、自然に出てくるのを待つのが一番安全である。
蛹室を割って取り出す場合は、交尾器が体内にしまわれ、ある程度黒くなってから取り出すようにする。
早めに取り出したい場合でも、羽化後、最低1週間は待った方が良い。
※下記の写真の成虫はまだ体が赤っぽいので、取り出しにはまだ早い。

羽化数日後の♂

羽化数日後の♀
羽化して間もない成虫はまだ弱く、十分に動けないこともあるので、取り出した後もしばらくはそっとしておく。
また、羽化後1〜2ヶ月位はエサを食べないので、無理に食べさせる必要はない。
秋に羽化した個体は、成虫のまま蛹室内で越冬し、春になって暖かくなると蛹室から出てきて活動する(1越型)。
この場合は休眠状態になるため、春になるまでエサを必要としない。
但し、暖かい室内で飼育している場合は、冬でも活動することがあるので、エサを与える必要がある。
基本的には♀の方が♂よりも早く羽化する傾向にあるため、短命な種の場合、♂が羽化する前に♀が死亡してしまう場合がある。
こうなると累代飼育が難しくなるため、早い時期に羽化した♀を延命させる処置が必要になる。
延命させるには、温度を低くし活動を抑制させる、または休眠状態にさせる方法がある。
但し、失敗すると死亡してしまうこともあるので、十分注意する。
オオクワガタ等の長命な種は、気にする必要はない。