≪ ペアリング ≫

♂♀がいる場合は、繁殖させる事が可能。 オオクワガタ、コクワガタなどは比較的、人工繁殖が容易で、 成功すれば1ペアから20〜30頭に増やすことができるので、是非ともチャレンジして頂きたい。
但し、増え過ぎてしまうこともあるので、責任持って飼育できる範囲で繁殖させることも重要である。

◆ 個体選定
ペアリング ♂♀の相性

個体の大きさや性格などにより、♂♀には相性がある。あまり大きさの違うペアや攻撃性の強い個体でのペアリングは失敗することがある。
相性が悪い場合、♂♀同士でもケンカをすることがあるため、あまりケンカが激しいようであれば、相手を変えた方が良い。 そのまま一緒にしていると、足などを噛み切られたり、殺されてしまう場合があるため、良く観察しておく。


個体サイズ

なるべく大きなサイズの個体を選んだ方が良い。
親が大きければ、繁殖に成功する確率が増えるだけでなく、その子供も大きくなる可能性が高くなる。
また、大きさの違いによる相性不一致を防ぐため、下表を参考に、なるべく釣り合いの取れた大きさのペアを選ぶようにする。


♂♀ペアリングサイズ ]
(mm)50525456586062646668707274767880
(mm)35363738394041424344454647484950

※サイズ表はあくまで参考であり、その他の要因により相性が合わないことがある。また、5mm程度違っても問題ない場合もある。


個体の成熟

♂♀とも羽化してからエサを食べ始めて1ヶ月以上経った成熟した個体を選ぶ(大型の個体ほど、成熟に時間がかかるようである)。 若すぎて未成熟の場合は、交尾できる状態ではないため、ケンカをして相手を傷つけてしまうことがあり、無精卵になる可能性もある。
また、羽化後3年以上経った古い個体や、あまり元気のないものは避けた方が無難。


欠陥

以下のように体の一部に欠陥がある個体は、交尾、産卵に適さないため避けた方が良い。

  • で後脚の附節、脛節がない個体
    交尾の際に、は後脚での上翅をさすって求愛行動をとる。後脚に欠陥がある場合、交尾できないことがある。
  • で大アゴが欠けていたり、前脚の脛節がない個体
    は産卵する際に大アゴで産卵木を齧るため、大アゴに欠陥があると産卵が円滑に行えない場合がある。 先端が若干欠けている程度であれば産卵できるようだが、産卵数が減ったり、必要以上に体力を消耗してしまう可能性がある。
    また、産卵巣に卵を産みつけた後、前脚で木屑を埋め戻す必要があるため、前脚が欠落している個体は避けた方が良い。(附節はなくても問題ない)
◆ セット方法

ペアリングの方法として、自然交尾法、強制交尾法がある。


自然交尾法

前項の成虫飼育方法で♂♀を1ペアで飼育し、自然に交尾するのを待つ。
十分成熟した健康な個体であれば1週間程度で交尾は完了している。
ペアリング後にだけ取り出して、そのまま産卵に移行したい場合は、この時に産卵木をセットをしておく。


強制交尾法

自然交尾法でほとんどの場合は交尾をするが、確実に交尾を確認したい場合は、樹皮やマットなどの隠れ場所をなくし、♂♀を強制的に出会わせて交尾をさせる。
この方法でたいていはそのまま交尾するが、ケンカしたり、逃げたりして交尾する様子がなければ、別の機会にもう一度試すか、ペアを変えてみる。


= 強制交尾法手順 =
  1. 小型のプラスチックケース等、比較的小さな容器を用意する。
  2. マットを薄く2cm程度固く敷きつめるか、樹皮等を敷いて足場を作る。
  3. ここにのみを最初に入れておき、落ち着くまで様子を見る。
  4. が落ち着いたようであれば、の腹の下に静かに置く。この時、の交尾器との交尾器が合わさる様にV字に置く。
◆ 管理方法
飼育場所

オオクワガタ等の警戒心の強い種類は、暗くて静かな場所に置いておくようにする。 振動を与えたり、人の気配がすると交尾をやめてしまう場合があるので、交尾の様子を観察するのは結構難しい。
ノコギリクワガタ、ミヤマクワガタ等はあまり気にしないようである。


エサ

交尾、産卵時は体力を消耗するため、ペアリング1週間位前から、♂♀ともタンパク質に富んだエサを与えるようにする。 特には産卵時にタンパク質を必要とするため、タンパク質不足の場合、を捕食する事もあるので要注意。


[ タンパク質を多く含むエサ ]
高タンパクゼリー専門店で高タンパクゼリーが売られている。普通のゼリーに比べ、若干高価。
バナナマットに直接置くと汚れるので、皮がついた状態で与えた方が良い。また、腐りやすいため、早めに交換するようにする。
ヨーグルトゼリー等と一緒に混ぜて与える。
卵白ゼリー等と一緒に混ぜて与える。
カブトムシの蛹オオクワガタは他の昆虫を捕食することもある。
特に人工飼育においては、カブトムシの蛹をエサとすることは有名で、タンパク質補給に効果があり、好物のようである。