- ○ 飼育ケース
- 一般的なプラスチックケースで良く、なるべく大きいものを選ぶようにする。(中〜大ケース)
左下の写真はプラスチックケースで、左から大、中、小、ミニ。
できれば、右下の写真の様なコバエ侵入防止タイプの物を用意すると良い。 多少高価だが、コバエの侵入を防止できると同時に、内部のマットも乾燥しにくいので、衛生的で管理も楽である。 - ○ マット
- 市販されている昆虫マットで、クヌギ、コナラ等の広葉樹を原料とした発酵マットを使用するのが好ましい。
マットは素材、粒子の大きさ、発酵の程度など、様々な種類が市販されているが、飼育種によって産卵に適したマットは異なる。
繁殖を目的としないのであれば特にマットの種類にこだわる必要はなく、未発酵マットや針葉樹タイプの物を使用しても問題ない。また、ミズゴケ等で代用する方法もある。 - ○ 止まり木、樹皮、木片等
- オオクワガタは本来、地上よりも樹木を中心とした活動をするため、できるなら大きな止まり木を用意したい。
樹皮や木片は隠れ場所であると同時に、転倒した時に起き上がるための足場にもなる。 クワガタは転倒したままだと体力を消耗し、最悪の場合は死亡してしまうので注意が必要。 - ○ エサ皿
- 特に無くても構わないが、エサ(昆虫ゼリー)を直接マットの上に置くと、クワガタがゼリーをひっくり返してマットが汚れてしまうため、エサ皿の上に置いた方が無難。
また、エサ場は交尾の場所にもなるため、足場を確保する意味でも用意した方が良い。
一般的な切り株タイプや、かまぼこタイプ、人工素材の物、1穴、2穴等、様々な種類のエサ皿が市販されているので、飼育ケースや飼育個体の大きさに合わせて選ぶと良い。 - ○ 産卵木
- ペアリングし、産卵させる場合に必要となる。
クヌギ、コナラ等の広葉樹の朽木で、直径7〜10cm以上の物が好ましい。
シイタケほだ木の廃材などが産卵木として売られているため、これを利用するのが最も手軽である。
詳細は『オオクワガタ飼育マニュアル/産卵』 参照。
- ○ エサ
- 市販の昆虫ゼリー、バナナ、リンゴ等を与える。水分の多いエサ(スイカ等)は栄養分が少ないため好ましくない。
昆虫ゼリーは、高タンパク質、高ビタミン、低糖タイプ等、多くの種類が市販されているが、特徴や価格に応じて好みの物を選べば良い。 交尾、産卵時にはタンパク質が必要なため、高タンパク質な物を与えることが好ましい。
詳細は『オオクワガタ飼育マニュアル/ペアリング』 参照。
- ○ 霧吹き
- マットを保水する際は、霧吹きを使用した方が良い。
- ○ 保湿シート
- 市販の乾燥防止シート、サランラップ、新聞紙等。
一般的なプラスチックケースを使用する場合は、乾燥防止、コバエ侵入防止のため、ケースとフタの間に挟んでおくと良い。
サランラップの場合は、数箇所に穴を開けておき、ケース内部が蒸れて曇るようなら、穴を増やすか大きくする。
新聞紙は穴を開けずにそのまま使用できるが、乾燥防止効果はあまりない。 コバエ侵入防止飼育ケースを使用している場合は、これらの対応は不要。

プラスチックケース

コバエ侵入防止飼育ケース

良質クヌギ原木使用のマット

エサ皿

昆虫ゼリー

乾燥防止シート
念のため、マットは殺虫処理をした方が良い。ビニール袋に入れて電子レンジ、または熱湯につけて加熱し、殺虫する。
ダニやコバエの殺虫ができれば良いので、あまり長時間加熱する必要はない。
熱処理をしたマットは十分に冷まし、適度に加水して使用する。
セット手順
- 飼育ケースにマットを5〜10cm程入れる。
- 止まり木、樹皮、エサ皿等を配置する。
- 霧吹きで適度に加湿する。あまり加湿し過ぎないよう注意する。
- エサ皿にエサを置く。
- クワガタを入れる。
- 保湿シートを挟んでフタを締める。

セット例1

セット例2 (テラリウム)
テラリウム詳細は

基本的に成虫はペアリングの時を除き、1匹ずつ個別に飼育する方が無難である。
特に♂の場合は縄張りを持つため、♂を2匹以上入れるとケンカをし、
弱い♂はエサを取ることができず、最悪の場合は挟み殺されることもあるので、一緒にしない方が良い。
オオクワガタは比較的♂♀の仲が良いので、♂♀一緒にしても構わないが、相性が悪いとケンカする場合もある。
特にヒラタクワガタ、ミヤマクワガタ等、気性の荒い種は注意が必要。
飼育場所
なるべく温度変化の少ない、涼しい場所(室内)が良い。
直射日光の当たる場所は、高温により死亡してしまうので絶対に避けること。
また、オオクワガタは警戒心が強いので、なるべく暗くて静かな場所で飼育することが好ましい。
エサ交換
2匹位までであれば、1週間に2〜3回程度エサを交換すれば良く、エサの減り方や痛み具合を目安に調整する。
夏場はエサが腐りやすいので、バナナなどは早めに交換するよう注意する。
温度管理
30℃以上の高温では弱りやすいので、22〜28℃位で飼育するのが良い。
20℃以下では活動が鈍くなり、15℃以下の環境が続くと冬眠状態に入る。
また、クワガタの種類によって適切な飼育温度は若干異なり、標高の高い場所に棲息する種類(ヒメオオクワガタ、ミヤマクワガタ等)は高温に弱いため、低めの温度で飼育するのが好ましい。
湿度調整
マットが乾燥してきたら、霧吹きで適度に加湿する。
あまり湿度が高いと、ダニの発生原因にもなるので加湿し過ぎないよう注意する。
マット表面が乾燥していても内部は比較的湿度を保っているため、表面を軽く湿らす程度で良い。
オオクワガタは比較的乾燥には強い方なので、極端に乾燥していなければ問題ない。
オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタ等の長命な種は越冬することができる。
飼育環境や個体差にもよるが、11月〜3月位までの期間はマットや朽木内で冬眠する。
冬眠中のエサは不要で、特に世話をする必要はない。極度に乾燥しないように注意して、温度変化の少ない場所で管理する。
室外でも問題ないが、小さいケースで飼育している場合は、マット内の温度が外気温の影響を受けやすいため、寒冷地では室内の方が無難。
また、室内の暖かい場所で飼育している場合は、冬でも活動しているためエサを与える必要がある。
- オオクワガタ、ヒラタクワガタ等の大型の♂は挟む力が非常に強いため、指を挟まれてケガをしないように注意すること。
- ダニ
マットの湿度が高いとダニが発生することがある。クワガタに直接影響はないが、衛生的でないため発生させないようにする。 発生してしまった場合、クワガタに付着したダニは歯ブラシなどを使って軽く水洗いするか、霧吹きのジェット噴射等を利用して取り除く。いずれの場合もあまり強くやり過ぎないよう注意する。 マットは熱処理をするか、全て交換した方が良い。市販のダニ防止マットを使用すれば安心だが、購入したクワガタに最初からダニが付着していることもある。 - コバエ
小さなハエ(クチキバエ)が発生する場合がある。一度発生するとマットに産卵して繁殖してしまうので、マットは熱処理をするか、全て交換した方が良い。
また、他の飼育ケースに移動しないよう、コバエ防止シート等をケースとフタの間に挟んでおくようにする。多少高価だが、市販のコバエ侵入防止飼育ケースを使用するのが最も安心できる。 針葉樹マットや人工素材のエサ皿等もコバエ発生防止に効果がある。