≪ 羽化 ≫
◆ 羽化

蛹化後3〜4週間程経ち、色づいた蛹はやがて背中が割れて羽化が始まる。
よりの方が又、大型より小型の方が早く羽化する傾向にある。
羽化してから1ヶ月程経つと、体も黒く固まり、蛹室から野外に出て活動、後食を開始する。
春から初夏までに羽化した個体は、その年の夏に野外活動を開始するが、晩夏から秋にかけて羽化した個体は、そのまま蛹室内で越冬し、翌年の夏からの活動となる。
この様に羽化までの期間は個体によって異なり、以下の様に分類される。


タイプ産卵時期幼虫期間羽化活動開始
1年1化型初夏1年春または初夏羽化した年の夏に野外活動を開始する。
1年1越型初夏1年晩夏または秋成虫のまま蛹室内で越冬し、翌年の夏から野外活動を開始する。
2年1化型晩夏2年春または初夏羽化した年の夏に野外活動を開始する。
2年1越型晩夏2年晩夏または秋成虫のまま蛹室内で越冬し、翌年の夏から野外活動を開始する。

◆ 羽化の様子

以下は71mmの羽化写真。


羽化-1
@
羽化直前の蛹。
頭部、胸部、脚が濃く色づいており、体と皮の間の不要となった水分を尾端から排出して、皮膚はシワシワになっている。
脚がかすかに動き出すと、やがて羽化が始まる。

羽化-2
A
うつ伏せになり背中が割れると、成虫の体が現れる。

羽化-3
B
腹部を伸縮させ皮を脱ぐと同時に、背中の割れ目が更に大きく裂けていく。

羽化-4
C
白い上翅が現れる。
頭部、胸部、脚以外の各部もまだ白い。

羽化-5
D
立ち上がりながら、更に皮を脱いでいく。

羽化-6
E
上翅、下翅に体液を送り込み、伸ばしていく。

羽化-7
F
皮を完全に脱ぐと、上翅が合わさる。
この後、下翅を伸ばし乾くまでじっと待つ。
頭部はまだ折れ曲がっているが、半日ほど経つと頭部もまっすぐに伸びる。


◆ 羽化後の変化

羽化直後は頭部が折れ曲がり、上翅は白く、下翅も伸びたままだが、時間とともに成虫の姿へと変わっていく。
羽化後30〜40日経つと、体は完全に黒く固まり、蛹室から脱出し後食を開始する。
但し、交尾可能な成熟個体になるまでには、後食を開始してから更に1ヶ月以上かかる。
以下の写真は羽化後の時間経過とその変化の様子。


≪羽化後の
羽化後♂-1
@ 羽化直後
下翅を伸ばし、乾くまでじっと待つ。
頭部はまだ折れ曲がっている。
羽化後♂-2
A 羽化数時間後
頭部が持ち上がり、上翅も白からオレンジ色に変わるが、下翅はまだ伸びたまま。

羽化後♂-3
B 羽化1日後
下翅を折りたたみ、上翅も徐々に色づいてくる。
腹部はまだ白く垂れ下がっている。
羽化後♂-4
C 羽化2日後
全体的に色づいてきたが、まだ赤っぽい。

羽化後♂-5
D 羽化3日後
更に色づき茶色くなるが、交尾器はまだ出たまま。
羽化後♂-6
E 羽化7日後
交尾器の大部分が体内にしまわれ、全体的に黒く固くなってくる。

≪羽化後の
羽化後♀-1
@ 羽化直後
羽化後♀-2
A 羽化数時間後

羽化後♀-3
B 羽化1日後
羽化後♀-4
C 羽化3日後

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