オオクワガタ解説
≪ 幼虫 ≫
◆ 孵化
温度にもよるが、卵はだいたい1〜2週間で孵化する。
孵化直後の幼虫は白色で、アゴの先端のみ色がついており、1〜2日後ほどで全体的に色づき、頭部も固くなる。
最初は自分の卵の殻から食べ始め、その後、周りの朽木を食べ、トンネルを掘りながら食べ進む。
◆ 脱皮
幼虫は1令(初令)、2令、3令(終令)と脱皮を繰り返し、大きくなる。
脱皮は小さな部屋を作って、その中で行われる。脱皮直後の幼虫は頭部を含め全身白色半透明で、2日ほどして徐々に色づいてくる。
脱皮後の幼虫は脱皮前に比べ、頭部が何倍にも大きくなり、成長するに従い胴体が大きくなっていく。
幼虫期間は生育環境や個体差によっても異なるが、1〜2年かかる。
また、成虫の大きさは終令幼虫の体重によってほぼ決まり、基本的には体重の多い幼虫ほど大きな成虫になる。
[ 幼虫の成長過程 ]
初令幼虫 | [ 頭幅 ] 2〜3mm [ 体重 ] 1g未満 [ 期間 ] 15〜30日 |
2令幼虫 | [ 頭幅 ] 3〜6mm [ 体重 ] 4g未満 [ 期間 ] 15〜150日 |
3令幼虫 | [ 頭幅 ] ♂8〜12mm程度/♀7〜10mm程度 [ 体重 ] ♂3〜30g程度/♀3〜15g程度 [ 期間 ] 90〜300日 ◆発育期 3令に脱皮後10日〜2週間程で発育期を迎え、勢いよく成長を始める。この時期は幼虫の個体差が一番顕著に現れ、生育環境が良好であれば一気に大きくなる。 ◆成熟期 全体的に脂肪がのって体色は黄色がかってくる。この時期になると胃や腸にため込んだ食べ物を消化、吸収するため、それ以降、大幅に体重が増加することはない。 ◆前蛹期 蛹になる準備段階で、エサを全く食べずに糞で周りを固め、蛹になるために楕円形の部屋(蛹室)を横向きに作る。 ノコギリクワガタやミヤマクワガタなどは、朽木内から脱出し土中に蛹室を作るが、オオクワガタの場合は朽木内に蛹室を作る。 蛹室の中の前蛹は、徐々に体が縮み皮膚にしわが出てくると、あまり動かなくなり蛹になるのをじっと待つ。 |
◆ 幼虫の成長の様子
幼虫は周りの朽木を食べ、脱皮を繰り返して大きくなる。
やがて蛹室を作り、蛹になるための準備を始める。

<初令幼虫>
朽木から割り出した初令幼虫。
まだ全体的に色が薄く、透明感がある。
まだ全体的に色が薄く、透明感がある。

<2令幼虫>
2令初期の幼虫。
右下に見える初令幼虫よりかなり大きくなっている。
2令幼虫の尾端の先に丸く見えるのは糞。
右下に見える初令幼虫よりかなり大きくなっている。
2令幼虫の尾端の先に丸く見えるのは糞。

<3令発育期>
3令幼虫になると頭部の色が濃くなり、体も一気に大きくなる。体はまだ透明感があり、更に成長する。
(写真の幼虫は♂18g)
(写真の幼虫は♂18g)

<3令成熟期>
周りの木屑を食べ、大きく育った3令幼虫。
体全体に脂肪がのり、黄色味を帯びる。
(写真の幼虫は♂26g)
体全体に脂肪がのり、黄色味を帯びる。
(写真の幼虫は♂26g)

<蛹室>
脂肪を蓄え、丸々と太った3令幼虫は、やがて周りを糞で固めて蛹室を作り始める。
(写真は菌糸ビン内に蛹室を作る♂幼虫)
(写真は菌糸ビン内に蛹室を作る♂幼虫)

<前蛹>
蛹室を作り終えると、徐々に体が縮み前蛹となる。
皮膚はシワシワになり、仰向け状態で蛹化を待つ。
(写真の♂前蛹は1日後に蛹化)
皮膚はシワシワになり、仰向け状態で蛹化を待つ。
(写真の♂前蛹は1日後に蛹化)
◆ 幼虫の♂♀同定

♀幼虫の卵巣
初令、2令幼虫前期では困難だが、2令後期、3令になるとある程度♂♀の識別が可能で、頭幅、体の大きさ、卵巣の有無により同定する。
♂は頭幅が大きく、また♀は尾端から3節目に白い卵巣(♀斑)が左右対称に1つずつ現れる。
卵巣は2令後期から確認でき、3令になるとより目立つため分かりやすいが、3令成熟期には内臓器官として取り込まれ見えなくなる。