オオクワガタ解説
≪ 成虫 ≫


和名 | オオクワガタ |
学名 |
◆Dorcus hopei hopei (ホペイオオクワガタ/中国)
○Dorcus hopei binodulosus (オオクワガタ/日本、朝鮮半島)
以下、日本産について記載する。 |
体長 | ♂21.0〜76.6mm、♀22.0〜48.0mm (2011年現在、飼育個体では最大♂87.1mm) |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、対馬 (国外では、朝鮮半島にも棲息する) 棲息地域は局地的で、多産地として福島県南会津、山梨県韮崎周辺、大阪府と兵庫県の県境にある三草山周辺、九州の筑後川流域等がある。 人工繁殖が盛んなため絶滅の心配はないが、野生個体は乱獲により減少傾向にある。 |
形態 | 体色は♂♀共に黒色。 ♂の大アゴには中央やや先端よりに内側前方向きの大きな内歯があり、個体の大きさにより形状が異なる。 大型の個体ほど先端よりにあり内側前方向き、中型では中央に内側直横向き、小型では根元に内側後方向きとなり、はっきりしない場合もある。 また、小型の♂では光沢が強くなり、上翅に点刻列を持つ。 ♀は全体的に光沢があり、上翅に点刻列を持つ。 |
生態 | 隠れ家となる樹洞や樹皮めくれのある、若干開けた場所に立つ台場クヌギに良く見られるが、数はあまり多くない。
夜行性で警戒心が非常に強く、日中は樹洞に潜んでいることが多いため、野外で採集するのは極めて困難。 成虫の活動期間は5月〜9月頃までで、主に広葉樹の樹液をエサとするが、他の昆虫を捕食する獰猛な一面もある。 ♂は縄張りを持つため、同じ木に2匹以上の♂がいる事はあまりないが、樹洞に♂♀が一緒にいることは良くある。 大アゴの挟む力が非常に強く、国産クワガタムシの中では最も強い。 飛翔性はあまり高くないが、夜間、街灯等の明かりに飛来する事もある。 産卵形態は材産みで、クヌギの立ち枯れ等、比較的硬い白枯れ部分に産卵する。蛹室は朽木内に作り、幼虫期間は1〜2年。 成虫は越冬が可能で、飼育下での成虫寿命は3〜5年と他のクワガタと比較し長命。幼虫期間1〜2年と合わせると、5〜7年にもなる。 越冬期間中は朽木や地面に潜りほとんど動かず、エサも取らない。春になり、気温も高くなると再び活動を開始する。 コクワガタとは近縁種で、稀に雑種が生まれることもあるが、生存率が低く、基本的に♂になることが多い。 |
◆ 個体サイズによる大アゴ形状の変化
♂の大アゴの形状は、その個体の大きさにより変化する。

<♂78mm>
♂80mm程度の大型個体の内歯は前方を向いて、大アゴと重なり気味になる。

<♂71mm>
♂65mm以上の個体は内歯が先端よりに位置し、内側前方を向いている。

<♂62mm>
中型個体は内歯の位置が中央付近に下がり、方向も内側に寄ってくる。

<♂52mm>
小型個体の内歯は根元よりに位置し、内側を向く。

<♂35mm>
更に小型の個体は内歯が根元に位置し、発達が悪く不明瞭になる。 また、♀同様に前胸の光沢が強くなり、上翅に点刻列を持つ。

<♀45mm>
♀の大アゴにも内歯が存在する。