カブトムシ解説
≪ 幼虫 ≫
◆ 孵化
温度にもよるが、卵はだいたい10日〜2週間で孵化する。
孵化直後の幼虫は白色で、アゴの先端のみ色がついており、1日ほどで全体的に色づき、頭部も固くなる。
最初は比較的細かい土化した部分を食べ、大きくなるにつれて周りの腐葉土や、木屑を食べ成長していく。
◆ 脱皮
幼虫は1令(初令)、2令、3令(終令)と脱皮を繰り返し、大きくなる。
脱皮直後の幼虫は頭部が白色半透明で、半日〜1日ほどして徐々に色づいてくる。
脱皮後の幼虫は脱皮前に比べ、頭部が何倍にも大きくなり、成長するに従い胴体が大きくなっていく。
クワガタムシとは異なり、幼虫期間はほぼ1年で、次の年の初夏に成虫になる。
成虫の大きさは終令幼虫の体重によってほぼ決まり、体重の多い幼虫ほど大きな成虫になる。
◆ 幼虫の成長の様子
幼虫は周りの腐葉土を食べ、脱皮を繰り返して大きくなる。

<初令幼虫>
孵化1日後の初令幼虫。上は卵。

<2令幼虫>
右は脱皮直後の2令幼虫で頭部はまだ白い。
1日程すると左のように頭部がオレンジ色になる。
1日程すると左のように頭部がオレンジ色になる。

<2令幼虫>
右は2令初期幼虫。左は2令後期の幼虫。
頭部の大きさは変わらないが、成長するにつれて胴体が太く長くなる。
頭部の大きさは変わらないが、成長するにつれて胴体が太く長くなる。

<3令幼虫>
大きく育った3令幼虫は、成熟すると黄色がかってくる。
幼虫の側面に並ぶ茶色の点は気門と呼ばれ、これで呼吸している。
幼虫の側面に並ぶ茶色の点は気門と呼ばれ、これで呼吸している。
◆ 前蛹
丸々と育った3令幼虫は、5月中旬〜下旬頃になると、周りを糞で固めて縦向きに蛹室を作り始める。
蛹室が完成すると、やがて前蛹となり蛹になるための準備を始める。

<蛹室>
蛹室を作る3令幼虫。

<前蛹>
体が茶色くなり、皮膚は油紙のようにシワシワになってくると蛹化が目前にせまる。
◆ 幼虫の♂♀同定

♂幼虫のV字マーク
カブトムシの幼虫は3令になってしばらくすると、♂♀の判定ができるようになる。
クワガタの幼虫は卵巣の有無により同定するが、カブトムシの場合は体の大きさの他に♂幼虫のV字マークの有無で同定でき、
写真の赤丸内の小さなV字マークが見えれば♂ということになる。
また、クワガタの幼虫は3令成熟期になると卵巣が内臓器官として取り込まれ見えなくなってしまうのに対し、
カブトムシのV字マークは3令になってある程度成熟してからでないと現れてこない。