Practice Makes Perfect/思索の森ハイキングコース〜琴平ハイキングコース(横瀬駅〜影森駅)
西武鉄道・横瀬駅から出発
観光案内所横から線路下の隧道をくぐる
思索の森ハイキングコースにはお天狗様、愛宕神社、天王山などのポイントがある
住宅地が近いが熊が出没するらしい
天王山
思索の森ハイキングコースは落葉で道が不明瞭
旧宇根峠から羊山・芝桜の丘へ向かう
宇根集落から芝桜の丘へ
芝桜の丘
琴平ハイキングコースに入る
武甲山裏参道登山口。石灰岩掘削により昭和60年(1985年)を以って廃道
以前訪れた時はもう少し奥まで入れたが、現在は入り口から通行止めだ
今回のコース中最大の登り区間 399M峰
大山祇神(おおやまづみのかみ) 長者屋敷跡(標高410M)がこの日の最高所
緑の鉄階段を昇ると 修験堂
札所26番・円融寺奥の院・岩井堂
閻魔大王。右手が失くなっている

護国観音
札所27番・大渕寺
秩父鉄道・影森駅に到着。駅前には日貸し駐車場もあり料金は310円

思索の森ハイキングコース〜琴平ハイキングコース(横瀬駅〜影森駅)

2020年12月18日(金曜日)

 西武鉄道の横瀬駅から羊山を経て、琴平ハイキングコースを歩いて秩父鉄道・影森駅に降りる予定だった。横瀬駅の観光案内所の脇から、線路下の隧道を潜り抜けたところに『羊山公園・芝桜→』と書かれた標柱を見つけ、それを辿って行くうちに『お天狗様』『愛宕神社』『天王山』などの見知らぬポイントが次々現れ、どうも予め思い描いていたイメージとは異なる場所を歩いていることに気が付いた。
 道は落ち葉に埋もれ、その隙間から下草が伸び、こんもりと盛り上がった要所々々で行き止まりになると、そこから先の道が真っ直ぐなのか、それとも左右いずれかに折れるのか、次第に不明瞭になっていった。立ち止まって地図を調べると、どうやら『思索の森コース』と言うのに踏み込んでいるらしく、なるほど時折立っている標柱をよく見ると『羊山公園・芝桜』の下にちゃんと『思索の森ハイキング』と書かれていた。

 このコースは昭文社刊『2014年版・奥武蔵・秩父(1/50,000)』の地図には載っていない。今日持ってきたのは吉備人(きびと)出版刊『2015年版・奥武蔵登山詳細図(1/16,500)』である。まあ、予定とは違うが、行き先が羊山なら問題無い。このまま進むことにした。
 やがて『←羊山・芝桜/ひゃくいちたんぼ→』という標柱の立つ辻に出た。地図では旧宇根峠となっている。芝桜を目指して進むと車道に出て、そこに思索の森ハイキングコースの案内看板が立っていた。
 思索とは、物事を論理的に考えるという意味だそうで、哲学的思考をあれこれ発展させることを思索の森と喩えるらしい。このハイキングコースがその名を冠する理由は看板には書かれていない。
 車道を下ると観光トイレがあり、宇根集落に入る。山間に端正な住宅地が広がり、どの家の庭にもクルマが停まっているが、子供の通学時間帯を過ぎたためか住民の姿は見えない。
 民家の庭先に立つ標柱を見落とすと途端に道がわからなくなり、集落の中を行ったり来たりしながら庭を覗き込む様は不審者そのものである。消火栓のある辻を曲がってようやく見覚えのある芝桜の丘に到着した時には、横瀬駅を出発してすでに1時間06分が経っていた。

 ここからようやく琴平ハイキングコースである。芝桜の丘から17分で『武甲山入口』と刻まれた石標の立つ分岐に着いた。
 ここがかつての武甲山裏参道登山口であり、秩父市街から見て武甲山の真正面を直登するコースである。正面から登るのに裏参道とはこれ如何にと思うが、武甲山の市街地側は北斜面なので、南面に建てられた山頂神社からすれば裏側なのだろう。私も高校生の頃、学校行事でここから山頂まで登った事があるが、その時の印象は、当時の運動靴では急坂で滑って皆ひどく難儀したこと、山頂に掘られた大きな穴におびただしい量の空き缶が捨てられていたことが思い出される。
 その後間もなくこの道は石灰岩採掘事業により通行禁止となり、山頂もろとも消滅してしまった。6年前の2014年にこの道を辿ったところ、石標右側の車道は10分歩いたところで草木に埋もれたゲートに閉ざされ、石標左側の裏参道は、20分歩いた先でロープと有刺鉄線と立ち入り禁止の看板で行き止まりになっていた。ただそこで見た光景は、当時の記憶が蘇る懐かしいものだった。
 この日は分岐入り口に立ち入り禁止のバリケードが敷かれていたので、これ以上の侵入はやめ、琴平ハイキングコースを続行した。

 祠の前からちょっとした登りになり、名前は無いが標高399メートルの三角点標石の埋定されたピークに出る。思索の森から琴平コースはやたらと祠が多く、399Mピークを過ぎると大山祇神(オオヤマヅミノカミ)というのがある。オオヤマヅミは日本全国の山を管理する総支配人だそうで、富士山の木花咲耶姫のお父さんだという。傍の石碑によると、この祠は元々武甲山にあったが、石灰岩採掘によりここに移転させられたとかで、武甲山山頂の神社も同様だが、神のエラさなんぞは所詮、人の都合解釈でどうとでもなる儚いものなのだろう。

 東屋の建つピークに出ると、傍に長者屋敷と刻まれた石碑が立っている。こんな不便な山上に人の住む屋敷が本当にあったのだろうか。地図によると標高は410メートルで、今回のルートの最高所であり、直近の影森駅との標高差は139メートルある。
 緑の鉄階段を昇ると修験堂があり、そのすぐ先の大きな岩を回り込んで降りると、その岩を背後の要害とした札所26番・岩井堂が建っている。ここに来るのも高校生以来で、堂の裏の岩陰にひっそりと佇む閻魔大王の憤怒の形相もどこか懐かしい。昔のままかと思いきや、右手が欠けて失くなっていた。
 尾根伝いに護国観音まで行き、すぐ下に見える札所27番・大渕寺(だいえんじ)まで降りれば琴平ハイキングコースは終了である。
 出発から影森駅まで無休憩のまま、全行程は3時間12分だった。

●登山データ
2020年12月18日(金曜日)
横瀬駅(標高250M)→長者屋敷跡(標高410M)、標高差160M

横瀬駅(7時38分出発)→思索の森ハイキングコース→お天狗様(7時46分)→愛宕神社(7時53分)→天王山(8時04分)→旧宇根峠(8時18分)→芝桜の丘(8時44分)→琴平ハイキングコース→武甲山入口石標(9時01分)→399M峰(9時18分)→大山祇神(9時28分)→長者屋敷跡(9時35分)→修験堂(9時47分)→岩井堂(9時54分)→護国観音(10時23分)→大渕寺(10時36分)→影森駅(10時50分)
全行程:3時間12分

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