Practice Makes Perfect/水沢山(水沢観音から)
水沢観音駐車場。陶器市をやるらしい。背後の水沢山には雲が懸かっている
水沢観音へ
水沢観音・水沢寺
水沢山登山道入り口の石段
前半の丸太階段ステージ
後半のゴロ石ステージ

見晴台石仏。きついのもここまで
水沢山山頂(標高1,194M)。山頂は狭い
水沢観音の門前町はうどん街。水沢うどんを食べて帰る

水沢山(水沢観音から)

2022年7月8日(金曜日)

 これまで関東甲信地方の梅雨明け最速記録は2018年6月29日だったが、今年はそれを上回る6月27日に明けてしまい(後に7月下旬に訂正されたが)、以降連日の猛暑日に見舞われている。
 一方で新型コロナによる行動制限はなくなり、6月10日から外国人観光客の受け入れも再開しているが、未だ感染根絶には至っておらず、オミクロンBA5がじわじわと第7波の様相を見せはじめている。そんな中マスク着用については、熱中症の危険があることから、厚労省のガイドラインとして野外では不要とされたのは朗報だろう。
 この年の一番のニュースは、2月24日ロシアがウクライナ国境を越えて侵略戦争を仕掛けたことだ。欧米各国はロシアへの経済制裁や、ウクライナへの武器供与等の支援を続けているが、当初ロシアの戦費は金融孤立下にあっては一ヶ月程度で枯渇するだろうとの大方の見方に反し、戦禍はすでに四ヶ月半に及び、ロシアと国境を接するウクライナ西部の都市は軒並み壊滅状態に追い込まれている。核兵器の使用も辞さないプーチンとロシア軍に対して、NATO軍投入ができない状況に、ただウクライナ民衆だけが死傷し苦しむ姿が連日テレビで報じられている。

 この年のスキーシーズンは稀に見る大雪だったが、春になると急激に気温が上昇し、あれだけあった雪があっという間に消えてしまった。私は5月中旬に月山スキー場へ一泊で滑りに行く道中で鹿を撥ねてクルマを壊してしまい、予約していた宿を当日キャンセルして料金全額を支払ったり、入っていた車両保険が動物との事故が対象外のエコノミー型だったため一銭も降りなかったり、新車を購入するにあたっての下取り価格が100万円下がってしまったりと、散々なシーズンアウトになった。幸い昨年夏に頼んでおいた新車が事故後一ヶ月のタイミングで納車されたので、エコノミー型でも動物事故に対応した他社の保険に切り替えた。夜中鹿二頭に直前横断されたら、いかなスタビリティを以ってしても避けようがない。
 
 猛暑日の続く中、新車の高速走行テストも兼ねて、榛名山の一郭・水沢山に向かった。
 榛名山の火口湖である榛名湖畔が登山の起点となる外輪山とは異なり、山頂部から大きく渋川市街に張り出した水沢山は、榛名山というより山里から登る独立峰との印象が強い。
 関越自動車道に乗って北上すると、北の空は一面どんよりと黒い雲が垂れ込め、榛名山も水沢山も山頂部はどっぷり雲に没して、如何にも雨が降ってますよの様相だった。駒寄PAのスマートインターで降り、出来て間もない、新車のカーナビにも載ってない広い道を北上して伊香保温泉に向かうと、案の定パラパラと雨が落ちてきた。猛暑続きなので小雨程度なら却って涼しく登れるだろうと構わずにクルマを進めると、やがて水沢観音の門前町である水沢うどん街の先にある広い駐車場に到着した。雨は局所的だったのか、この辺りでは降ってなかった。
 平日の朝だし誰もいないだろうとの予想に反し、駐車場の奥のスペースには陶器市のテントが五つ六つ軒を連ね、業者が準備中だった。止められるスペースはまだ十分にあり、平日だし、陶器市だし、満車にはなるまいと端の方に止めさせてもらう。テント越しに水沢山が見えるはずだが、雲に覆われ全く見えない。山頂からの展望は何も期待できないだろう。

 水沢寺の境内を横切ると、飯綱大権現と書かれた赤い鳥居と急勾配の石段があり、水沢山登山口と書かれた標識が立っていた。山頂まで4km、120分と書き添えられている。登山届のポストは見当たらない。
 前半はよく整備された丸太の階段で、渋川市が材料を支給しボランティアが整備している旨の看板が立っていた。後半は雨で濡れて滑りやすいゴロ石を踏んでの道で、鉄パイプとロープが道に沿ってよく整備されているので転倒防止の補助にできるが、意外に勾配のきつい道が見晴台石仏まで続いている。
 見晴台石仏から山頂までは一転して緩い尾根道になる。蒸し暑さはあまりなく、上の方は雲の中なので多少涼しく感じる。この登山道は不思議と虫が見当たらなかった。
 山頂の少し下の道から外れたところに二つの小さな祠があり、その前の標石にスマホが置かれているのに気が付いた。周囲には誰もいない。触ってみると電源は入るので、おそらくここに置かれてさほど時が経っていないだろう。山頂にまだ落とし主がいるかもしれない。とりあえず拾得して山頂に向かった。

 登山開始から1時間29分で山頂に到着した。真っ白な雲に四囲を蔽われ、展望は何もなかった。狭い山頂には女性が二人並んで腰掛け休憩していた。二人ともスマホいじりに興じており、一応訊いてみたが落とし主ではなかった。ちょっと面倒なことになった、ここから一番近い伊香保の交番にでも届けとくか、と思って風景指示板のところに座ってむすびを食べていると、私が登ってきたのとは反対の道から息急き切って登ってきたオジさんが、私の顔を見るなり、スマホ見ませんでしたか、と訊いてきた。これですか、と差し出すと彼は安堵の表情を浮かべ、礼を言って元来た道を戻っていった。女性二人も、うふふ、と笑っていた。
 
 下山時間56分で駐車場に戻り、衣服をすべて着替え、門前町のうどん屋に立ち寄った。私がうどんをすすっているちょうど11時30分頃、奈良で参院選の街頭演説に立っていた安倍元首相が、暴漢から銃撃を受け、死亡するという事件が起こった。

●登山データ
2022年7月8日(金曜日)
水沢観音駐車場(標高614M)→水沢山(標高1,194M)、標高差580M
水沢観音駐車場(8時04分出発)→見晴台石仏(9時16分)→水沢山山頂(9時33分到着)、登り所要時間:1時間29分
山頂滞在時間:20分
水沢山山頂(9時53分下山開始)→水沢観音駐車場(10時49分到着)、下り所要時間:56分
全行程:2時間45分

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