Practice Makes Perfect/浅間隠山
浅間隠温泉郷入り口看板
滝乃沢不動滝
林道入り口のゲート。鎖錠はされてないので自分で開けて入れる。入ったら閉めておくこと
2kmほど走ってどうにか登山口駐車場に到着した。他には誰もいない。結局この日は終日誰にも会わなかった
スタート直後の沢沿い区間では5、6箇所の渡渉を強いられる。踏石が滑るので要注意
熊除けの鐘が一定間隔で吊るされている
シャクナゲ尾根
浅間隠山山頂(標高1,757M)

浅間隠温泉郷、鳩の湯温泉・三鳩樓

浅間隠山(浅間隠温泉郷ルート)

2019年9月3日(火曜日)

 浅間隠山という名前は、東吾妻町や中之条町から眺めると、浅間山をすっぽり蔽い隠してしまうところから付けられたという。ということは、この山に登るルートは、行程が短く一般的な二度上(にどあげ)峠からではなく、北麓の浅間隠温泉郷からが正統なものだろう。
 高崎から国道406号線を北西に進むと、長野原町との市町境の須賀尾峠登り口の浅間隠温泉郷の入り口に着く。温泉の大きな看板に交じって浅間隠山と案内が出ているので、それに沿って進むとやがて林道のゲートに突き当たる。
 ゲートは閉じているが鎖錠されておらず、手で開けられる。開けたら閉めておくよう注意書きがされている。
 ここから道はダートになり、しばらくは路面状態も走りやすいが、梅雨明け後も雨が続いたためか、森を抜けたところで突如状況は一変した。雨水の流れの収斂(しゅうれん)によって路面は深く洗堀され、林道の原型は破壊されていた。道を斜めに穿った深い溝はもはや避けようもなく、四駆とはいえ最低地上高は170ミリに過ぎないので、タイヤを溝の底まで落としてしまえば抜け出せなくなる惧れがある。幸いこの悪路区間は100メートルほどで終わり、どうにか乗り切ってゲートから終点の駐車場まで、距離およそ2キロ、所要時間10分で到着した。駐車場は10台ほど置けそうだが、他に誰もいなかった。

 まだ朝食を食べていないが、このまま登山を開始した。というか、前の晩も食べていない。これまでの経験から登山はダイエットにならないとしてきたが、今回は思うところあってダイエットを意識している。医者の奨めもあってこの二ヶ月間夕食を抜いている。
 駐車場に登山届のポストは置かれていない。少し歩くとすぐに川に出て、最初の渡渉地点のコンクリートの堰堤に出る。水嵩(みずかさ)は意外とあり、足首ほどの深さがあるので、並べられた踏み石を渡ったが、表面は結構滑るので注意が必要だ。その後数度ジグザグに渡渉を繰り返し、やがて沢から離れると、今度は登山道に張られた蜘蛛の巣を払いながらの登りとなった。この山を訪れるハイカーのほとんどは行程の短い二度上峠を選ぶようで、温泉郷ルートは人気がなく、蜘蛛の巣の数や張り具合の立派さから、暫く誰も入ってないようだった。
 一定の間隔で熊除けの鐘が吊るされているが叩かなかった。ここ数年は熊ベルも着けていない。熊ベル装着の科学的な是非は措くとして、山登りを始めた当初、私も熊ベルやストックを使っていたが、今はどちらもやめている。山の畏れを弁(わきま)えつつ、なるべく自然に抗わないよう、孤独に静かに歩くことを旨としている。因みにこれまで出遭った野生動物を挙げると、鹿、猿、狸、狐、猪、栗鼠、カモシカである。熊はまだない。何度か獣臭を嗅いだ程度でエンカウントを回避している。

 途中のシャクナゲ尾根は分かったが、地図のチェックポイントである鞍部というのはよくわからなかった。わからないまま山頂に到着してしまった。
 山頂にも誰もいなかった。辺り一面真っ白な雲に蔽われ、浅間山はおろか遠景は何も見えなかった。荷物を降ろし、腰を下ろしてミニ羊羹をひとつとゼリー食品ひとつを口に入れ、しばらく休んでから下山の途についた。その後もまったく誰にも会うことなく登山を終了した。
 下山後、浅間隠温泉郷のひとつ、鳩の湯温泉・三鳩樓(さんきゅうろう)に立ち寄り締めくくりとした。

●登山データ
2019年9月3日(火曜日)
浅間隠温泉郷ルート林道駐車場(標高980M)→浅間隠山(標高1,757M)、標高差777M

浅間隠温泉郷ルート林道駐車場(7時55分出発)→浅間隠山山頂(9時52分到着)、登り所要時間:1時間57分
山頂滞在時間:40分
浅間隠山山頂(10時12分下山開始)→浅間隠温泉郷ルート林道駐車場(11時18分到着)、下り所要時間:1時間06分
全行程:3時間23分

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