Practice Makes Perfect/立岩
立岩(標高1,265M)と大上集落

線ヶ滝上の駐車場が立岩登山口になる
登山者守り地蔵の先を右へ進む
立岩最大の難所の岩棚
鞍部から西立岩に向かう
西立岩山頂(標高1,265M)
西立岩の直立岩峰 左の尖っているのが荒船山山頂の経塚山
威怒牟畿不動の滝を裏から見上げる
威怒牟畿不動(いぬむきふどう)の滝 祠は朽ち果てている

駐車場のすぐ下にある線ヶ滝。滝壺まで降りられる

立岩(たついわ)

2012年10月22日(月曜日)

 5日前に登った碧(みどり)岩・大岩に続く西上州ハイキングシリーズ。今回は先日の碧岩と同じ南牧(なんもく)村にある立岩がターゲットである。
 狭隘な道路の両側に昭和の雰囲気の色濃い家並みが続く砥沢(とざわ)集落を抜けると、羽根沢の学校跡のY字路に出る。前回の登山ではここを左折したが、今回は右折する。
 道はそれまでよりも勾配を増して狭くなるが、集落はどこまでも続く。やがて前方に立岩の直立岩峰が見えてくるが、人家や農地など、生活の営みはこの立岩の根元にまで及んでいる。どのような事情でここに集落があるのかの詮索は全くの大きなお世話だが、このことは少なからず衝撃的な光景である。
 やがて道は行き止まりとなる。行き止まりには登山口と駐車場があり、少し手前に線ヶ滝という景勝がある。碧岩登山の折に見た三段の滝と同じく、南牧三名瀑のひとつである。
 南牧村のホームページの登山案内には、特に登山用の駐車場はなく、路肩に数台駐車可能と書かれているが、実際には10台ほど置けそうな立派な駐車場がある。これはいったい何なのだろうか。線ヶ滝の降り口には駐車場がないので、おそらくは、この行き止まりの駐車場が、特に何も書かれていないものの、地権者の厚意によって整備された滝見物用のものに違いない。先日の三段の滝駐車場にあったのと同型の登山届のポストが設置されていることから、登山者にも好意的なものと受け取り駐車させてもらった。

 9時に登山開始。
 立岩は西立岩と東立岩のふたつの岩峰から構成されているいわば二子山だが、何故か東立岩への登山道は存在しない。ただ、西立岩の方が標高が高く、山頂として定義されている。とりあえず、このふたつの立岩の鞍部を目指して登る。
 駐車場から少し歩くと登山者守り地蔵の祠がある。駐車場料金としては少ないが、寸志を賽銭箱に放り込んで祠の先を右へ進む。すぐに現れる次の分岐では右の中級直登コースを選ぶ。
 伐採の行き届いた登山道をしばらく登ると巨大な岩に突き当たるので、岩の根元を回るようにルートを左にとる。右へも踏み跡が付いているが、地盤が岩肌から剥離しており、そのすぐ先で行き止まりとなっているので、こちらは間違いである。
 鞍部直下はガレ場の急登で、鎖が施されているものの足場が悪く、足許から頻繁に落石が発生しやすい。下に人がいる場合、または上に人がいる時は要注意である。
 鎖に頼らず登って行くと、両脇の岩壁が徐々に狭まり、やがて行く手を立ち塞ぐ岩盤にぶつかる。越えられないことはないが、これは明らかにハイキングレベルを逸脱している。気が付かなかったが、途中で道を間違えたのだろう。間違えたのはこの日二度目である。少し引き返すと鎖の取り付け点からルートは岩棚に向けて折り返されていた。
 幅30センチほどの岩棚を鎖にすがって登るとベンチの置かれた鞍部に出る。ここから東立岩への道を探すが分からないので、そのまま西立岩へ向かった。

 山頂へは駐車場から1時間5分で到着した。先日の碧岩に比べれば難度は低いが、切り立った岩峰なので危険性は莫迦にできない。
 展望は北面にのみ開けており、荒船山の山頂である経塚(きょうづか)山と、その先の浅間山が見渡せる。先日登った碧岩は南側のため、樹木に遮られて確認できなかった。
 山頂にもベンチがある。樹木が多いため、切り立った岩峰上とは俄かには信じられないほどの長閑(のどか)さの中、期限切れのゼリーとビスケットの残飯整理を楽しんだ。

 下山路は登って来たのとは反対側の道を行く。鎖のある岩を登って、そのまま稜線を行くと経塚山へ至るが、途中の分かりにくい分岐を左に下れば、線ヶ滝の駐車場に降りられる。今回は経塚山は計画に入れてないので、ここで降りることにする。
 途中で威怒牟畿不動(いぬむきふどう)という大岩壁が現れる。20メートルほどの岩壁の上から滝が降り注いでおり、下には祠が祀られている。祀られているといっても、ほとんど朽ち果てており、廃墟となっていた。訪れる人もいないことを伺わせる。
 滝は岩肌を伝うことなく、岩盤上から空中に散布され、辺り一帯雨のように降り注いでいる。廃墟と化した祠に虹が掛かっていた。
 岩棚を祠まで歩いて行くと滝を裏側から見ることができる。

 やがて駐車場に着くが、素通りして少し下ると線ヶ滝への降り口がある。降り口には線ヶ滝守り観音が祀られているので、ここでも賽銭箱に寸志を放り込んだ。
 線ヶ滝は落差35メートルの細長い滝である。威怒牟畿不動の滝とは対照的な、極限まで収斂(しゅうれん)された錐のような滝で、それが一直線に滝壺に突き刺さっていた。古びた螺旋階段で滝壺まで降り、しばらく休憩した後、駐車場へ戻った。

●登山データ
2012年10月22日(月曜日)
線ヶ滝駐車場(標高735M)→立岩(標高1,265M)、標高差530M

線ヶ滝駐車場(9時00分出発)→立岩のコル(9時45分)→西立岩山頂(10時05分)、登り所要時間:1時間05分
山頂滞在時間:15分
西立岩山頂(10時20分)→荒船山分岐(10時45分)→威怒牟畿不動(11時00分/休憩10分)→線ヶ滝駐車場(11時35分)→線ヶ滝(11時40分/休憩5分)→線ヶ滝駐車場(11時50分)、下り所要時間:1時間30分
全行程:2時間50分

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