Practice Makes Perfect/子持山
7号橋駐車場から登山開始
登山口と登山ポスト
板敷きの道が雨で濡れていてツルツル滑る
放射状岩脈のひとつ屏風岩

子持山のデビルスタワー『獅子岩』別名『大黒岩』ともいい、火山岩頸(がんけい)という地形らしい

単なるヤセ尾根の道ではない。この山の特徴である岩脈のひとつだ
獅子岩の鉄梯子。7メートルくらいか
獅子岩に建つ石碑
獅子岩から柳木ヶ峯と子持山山頂を臨む
獅子岩の鼻先から浅間山を眺めると、手前の異様な構造物に気付く
放射状岩脈『護摩壇』。四阿山で見た『的岩』みたいなものか
あたり一面に刻まれたたくさんの落書きが酷い
柳木ヶ峯(標高1,190M)。子持山山頂と浅間山への分岐点
もう少しで山頂だ
子持山山頂(標高1,296M)

登ってきた道を柳木ヶ峯の分岐まで戻り、右に続く浅間山を目指す。途中の展望岩から獅子岩へと続くうねった稜線を眺めるが、足許は切れ落ちた垂直断崖なので要注意

大タルミ
牛十二の石祠。この近くに『護摩壇』があるっぽいが
浅間山山頂(標高1,088M)。展望なし
5号橋へ降りる分岐。5号橋から7号橋駐車場まで車道を歩いて戻る予定だったが…

途中、地図にはない8号橋へ降りる分岐が。7号橋へのショートカットを試みる勢力はやはりいるのだ。では何故地図に載っていないのか。訳ありなのだろうが、案内されているのでとりあえずここを降りてみる
特段危険な箇所もなく分岐から11分で8号橋に出られた
8号橋から歩いて5分で7号橋駐車場に到着

子持山

2024年11月1日(金曜日)

 太古の火山テイストがコンパクトに凝縮された子持山は、ジオパークと言ってもおかしくない見所満載の山でありながら、上毛三山の人気とスケールの陰に隠れた好事家向けという位置付けだろうか。
 関越自動車道の渋川インターを降りて子持山の道標に従って進むと、やがて赤い大鳥居が現れ、それをくぐると離合困難な林道に入る。最近は駐車場まで交通事情のいい山ばかり行っていたので、久々のこういう山道には心震える。近年この道は台風被害による通行止めが続いていたが、2024年現在では再奥の7号橋駐車場まで解消されている。
 子持山の登山口とそれに附帯する駐車場は幾つかあり、朝6時半で、5号橋駐車場には誰もおらず、6号橋駐車場も同様。紅葉の見頃にも拘わらず、再奥の7号橋駐車場でやっと先客のクルマ一台が停まっているだけのマイナーっぷりだ。
 
 7号橋のすぐ上がポストのある登山口で、合板敷きのスロープが最初の見所『屏風岩』手前の太鼓橋まで続いている。これが数日前に降った雨で濡れており、踏み桟が付いているものの凄まじく滑る。
 屏風岩も登れるらしいが今回は割愛し、まずは獅子岩を目指す。ルートにはピンクリボンやペンキマークが施されているが踏み跡は薄く、これで合ってるのか疑うほど勾配もきつく危なっかしい。先日登った白毛門の急登ルートの方がはるかに明瞭で、ハイカーが少ないことによる、より自然に近い状態を維持したままでいる子持山の認識を新たにした。

 スピルバーク監督の映画『未知との遭遇』に登場する宇宙人とのコンタクトの舞台となったデビルスタワーを彷彿させる子持山のシンボル『獅子岩』は、火口内で固まったマグマが長い年月の侵食に耐えて岩として残ったもので、火山岩頸(がんけい)という地形だとか。別名を『大黒岩』といい、大黒天すなわち破壊神マハーカーラの異名を以って当時の人から畏敬の対象として見られていたのだとすれば、むしろそっちの方がしっくり来る。
 垂直に切り立った見上げるばかりの崖の高さは100メートルもあるが、背中から回り込めば頂上直下の7メートルの垂直壁のみ鉄梯子で昇るだけのたやすさで到達できる。登ってみると足元の岩肌一面、穿たれた登頂記念の落書きが汚らしい。
 それでも、狭すぎず広すぎず、全方向切れ落ちた断崖上なので適度にスリリングで展望好く、山のテッペンとしては理想的だ。
 100メートルの崖っぷちまで行ってみると、子持山山頂から浅間(せんげん)山へと続く稜線の下に、異様な構造物があることに気付く。万里の長城を思わせる不自然かつ人工的な、山を分断する巨大パーテーションで、『放射状岩脈』といい、以前、群馬長野県境の四阿山で見た『的岩』と同じ、火口から流れ出た溶岩が地面の亀裂の中で固まったものが後に露出したものらしい。放射状ということは、獅子岩を中心に広がっているということで、7号橋登山口にあった『屏風岩』もそのひとつとされ、途中で渡った岩のヤセ尾根もそれである。

 獅子岩を降り、獅子ならぬ龍の背がうねるような稜線を辿ると、やがて子持山山頂(標高1,296M)に到達する。
 山頂は地味ながらもまずまずの広さがあり、周囲の展望も開けている。ここで17分の座り休憩を容れ、うねった尾根を途中の柳木ヶ峯の分岐まで引き返し、登ってきた獅子岩方面とは別の、もう一方の大タルミ・浅間山方面にルートを辿った。
 クルマを置いた7号橋に戻るには、柳木ヶ峯から急坂を下りきった大タルミの分岐から8号橋へ降りるのがベストなのだが、それでは少し物足りないので、浅間山まで足を伸ばし、その先の分岐から5号橋へ降りるプランニングである。5号橋は7号橋より二つ下なので、車道を15分登り返さねばならないのが難点だが、それはこの際妥協するしかない。
 大タルミを過ぎ、置き配ボックスのような石の祠がある牛十二を通過すると、まったく展望のない浅間山山頂(地図表記では標高1,091M、現地表記では1,088M)に出る。
 その先にある5号橋への分岐を左に折れて少し下ると、手持ちの地図には載っていない8号橋・屏風岩方面への分岐が唐突に現れた。プリントアウトした紙をラミネートして木にくくりつけてあるだけの怪しさだが、なるほどルートにはピンクリボンが散見でき、踏み跡も比較的しっかりしている。自分の手持ちの地図が古いだけなのか、しかしやはりそういうことを考える人はいるんだろうな、とは思う。つまり正当に5号橋に下って7号橋まで車道を登り返すことを潔しとせず、直接7号橋に降りるショートカットを試みるムーブである。地図を見て思いはするが、何故それがないのかは地権者に訊いてみないと分からない。一応確認のためこのルートを下りてみたが、やはり子持山のコース全般に施されている広域消防本部への遭難通報ポイントの表示はここにはなかった。

●登山データ
2024年11月1日(金曜日)
7号橋駐車場(標高700M)→子持山(標高1,2965M)、標高差596M
7号橋駐車場(6時40分出発)→獅子岩(8時03分/休憩10分)→子持山山頂(9時03分)、登り所要時間:2時間23分
山頂滞在時間:17分
子持山山頂(9時20分下山開始)→浅間山(10時16分)→8号橋への分岐(10時40分)→7号橋駐車場(10時56分到着)、下り所要時間:1時間36分
全行程:4時間16分

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