Practice Makes Perfect/白毛門・朝日岳
土合橋駐車場から朝日岳目指して登山開始
白毛門まで3.1km、朝日岳までなら6.5kmもある
山の斜面を吹き上げる雲で視界と体温を奪われる
3度目となる白毛門到着(標高1,720M)
次なる笠ヶ岳へ向かう
2度目の笠ヶ岳到着(標高1,852M)
ここからが本日の主題。朝日岳へ挑む
山頂まで十ほどの小ピークのアップダウンが正弦波のように続く
ガスで視界が効かない中、同じようなピークがこれでもかと現れる
3度目の挑戦にして、ようやく朝日岳山頂(標高1,945M)に到着
この先ジャンクションピークだが、本日の予定はここまで
元来た稜線のアップダウンを引き返す

朝日岳稜線の色付き
笠ヶ岳を下った鞍部から登り返しとなる白毛門の稜線を見上げる

勾配は緩いが往路で出し切った体にはなかなか辛い
松ノ木沢ノ頭から白毛門を振り返る
予定時刻を30分オーバーして駐車場に到着。引退の危機

白毛門・朝日岳

2024年10月15日(火曜日)

 朝日岳への挑戦も三度目となる。
 初回は6年前の2018年6月、スタートの出遅れと凡ミスから時間切れとなり笠ヶ岳で敗退。二度目の昨2023年10月はスタートから風雨の中タイムを作れず白毛門で引き返している。今季の登山は仕事の休みと天候の折り合いが悪く、ようやく巡ってきたチャンスながら、日勤夜業48時間不眠勤務明けから中二日置いたとはいえ、体のリズムはガタガタになってしまい本調子とは言い難い。体力的にも年齢的にも今回が最後のチャンスとなるだろう。

 夜中3時半に家を出て、土合橋の駐車場に5時半到着。朝食のおにぎりを食べ、5時50分に登山を開始した。今日の予報は曇り、お昼前に少し晴れ間があるとのことだったが、山には深い霧が垂れ込め、稜線に出てからは斜面を吹き上げる上昇気流も加わって、気を抜けば風邪をひきそうな寒さとなった。
 白毛門山頂でウインドブレーカーを羽織って13分座り休憩を容れる。6年前のタイムが2時間47分、昨年が18分ビハインドの3時間05分、今回は前回をわずかに上回る3時間02分と、とりあえず地図上参考タイム(コースタイム)の3時間30分は辛うじて上回ったものの、もうこれ以上迅(はや)く歩くのは困難であり、ここから先は悲痛な現実を突きつけられることになる。
 白毛門から次の笠ヶ岳までコースタイム55分のところ、6年前でも辛うじて53分、今回は10分ビハインドの1時間03分でコースタイムを8分オーバーした。ウインドブレーカーを着ると汗だくになり、脱げば風邪ひく寒さとあって、体温調整の難しいシチュエーションになった。

 次なる朝日岳までのコースタイムは75分である。このままでは到着時刻は予定を30分オーバーしてしまう。となると下山時刻も後ろ倒しに16時30分となり、なんとも自分の実力もここまで堕ちたかと落胆に心折れそうになってくる。しかしそれでもまだ明るいうちには下山可能であり、ここでやめてしまってはこれまでの4時間18分が無駄になる。多寡があと1時間15分じゃないかと己を鼓舞し、ここが今日のスタートラインなんだ、今日はここからだ、今感じているこの全身の疲れはたぶん気のせいなんだと気持ちをリセットし、朝日岳への登坂路に踏み込んだ。
 
 稜線は頭に巻いたタオルが吹き飛ばされそうなほど風が強いながらも雲が切れず、山頂まで十ほど連続するはずの小ピークの影も形も、目の前のもの以外まったく分からない。二年前に登った隣の七ッ小屋山から見た、朝日岳の稜線を真横から捉えたイメージだけが、いつ終わるとも知れないアップダウンの連続にも辛うじて正気を保っていられるエビデンスだった。
 修正した予定を3分オーバーの11時33分に朝日岳山頂到着。ここでお昼休憩を22分容れ、11時55分、登ってきた稜線を引き返した。
 下山といっても十ほどもある小ピークのアップダウンと、笠ヶ岳の登り返し、白毛門の登り返し、そして白毛門から2時間半の急降下はことのほか辛く、そのすべてでコースタイムをオーバーした。一昨年の爺ヶ岳と同様、身体中がガタガタになりペースはガタ落ち。ハンガーノックを起こした爺ヶ岳とは違い、頭の血の気が引いて吐き気を催し気持ち悪い。この暑寒い中、ついに抗しきれず風邪をひいたのか、あるいは熱中症なのか、水分補給は問題ないので、足りてないのは塩か、これは脱塩症状かと思い至った。
 登りではアイソトニック飲料を使っていたが、稜線からはいつもどおり水に変えている。そのいつもにはない、まるで精製水を飲んでいるかのような妙な味気なさに違和感を覚えてはいたが、それでカラダ中の塩分を持って行かれたのか、針で突き刺すような汗で目は開けておられず、頬に析出した結晶のザラつきの厚さに慌てて岩塩を摂取したものの、目眩によって体幹は奪われ、下山時には滅多にしない座り休憩まで余儀なくされた。5分間座って少しは落ち着いた。
 
 駐車場到着時刻を17時と覚悟したが、どうにか16時30分に降りてこられた。もともとの予定が16時だったので30分の超過である。もはや10時間レベルの登山は引退の潮時なのかもしれない。
 ちなみに昨年この山で失くした南部鉄器の熊ベルだが、探しはしたものの見つからなかった。

●登山データ
2024年10月15日(火曜日)
土合橋駐車場(標高690M)→朝日岳(標高1,945M)、標高差1,255M
土合橋駐車場(5時50分出発)→白毛門山頂(8時52分/休憩13分)→笠ヶ岳山頂(10時08分/休憩2分)→朝日岳山頂(11時33分)、登り所要時間:5時間43分
山頂滞在時間:22分
朝日岳山頂(11時55分下山開始)→笠ヶ岳山頂(13時04分)→白毛門山頂(13時57分)→土合橋駐車場(16時30分到着)、下り所要時間:4時間35分
全行程:10時間40分

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