Practice Makes Perfect/焼岳(北峰/新中の湯ルート往復)
新中の湯ルート登山口駐車場。20台ほど置けるが平日6時着でギリギリ停められた
新中の湯ルート登山口
九十九折の安房峠の上段から落ちてきたのか、仰向けに擱座したクルマ。ドライバーはどうしたのか
深くガスが垂れ込めているが9時には晴れる予報だ
北峰と南峰の鞍部。標高の高い南峰は登山禁止なので目指すは右の北峰になる
北峰の紅葉の色づき具合。しっとり濡れていい感じだ
肉眼ではガスが濃いのでペンキマークとケルンが頼りだ
硫化水素臭が強く鼻を衝いてなかなか辛い
噴火警戒レベル1ながら山頂付近を震源とする火山性地震が多発しており、2014年の御嶽山の状況と酷似している
まさか今日は噴火しないだろうとの根拠は何もなく、愚かな運試しと言えそうである

焼岳(北峰山頂/標高2,444M)。ガスで何も見えない
下山時の駐車場の混み具合。安房トンネルが開通してからは路駐もすっかり直角駐車がトレンドになったようで、道路交通法が問われるところだ

焼岳(北峰/新中の湯ルート往復)

2023年10月16日(月曜日)

 この峠道を訪れるのは、まだ安房トンネル開通前に、乗鞍岳で山スキーをして以来30年ぶりとなる。あちこちマグナムで撃ち抜いたような穴だらけのガードレールが当時のまま不気味で懐かしい。
 夜中の2時に自宅を出て、中の湯温泉旅館の上の駐車場に着いたのが6時である。平日早朝でもあり、自分の前後を走るクルマはいなかったが、着いてみると20台ほど置けそうな左側のスペースは辛うじて一台分残しているのみだった。

 かつての噴火によって大正池を造った焼岳はふたつの山頂からなるが、標高が高い方の南峰は岩が脆く登山禁止になっており、標高2,444メートルの北峰がハイカーが目指す山頂とされている。スタートから2時間21分で登りきったが、9時には晴れるとの予報も虚しく、まったくその気振りもない小雨に濡れるほどの濃霧によって何ら景色は望めなかった。
 焼岳は硫化水素ガスの噴出する常時観測火山であり、活動火山対策特別措置法において山岳ヘルメット着用奨励山域に指定されている。この年の8月から山頂付近を震源とする火山性地震が1日に十数回観測されており、気象庁による噴火警戒レベルは1のままだが、戦後最悪の火山災害となった2014年の御嶽山がまさにこのシチュエーションだったことを鑑みると、まったくのお気楽登山とはいかない、愚者の運試しの覚悟がいる。
 上高地からのルート途上にある焼岳小屋ではヘルメットのレンタルをしているようだが、新中の湯ルートにはそういったサービスはなく、往復で見掛けた100人ほどのハイカーのうち、ヘルメット着用者は私を含め三人きりだった。かつてのクルマのシートベルトや原付バイクのヘルメット、昨今ではスキーでのヘルメットがそうなように、火山や岩稜での標準装備として定着するにはまだまだ時間が掛かりそうだ。

 下山中不信に思ったのが、この時間になっても途切れることなく登ってくるハイカーの数である。往復5時間程度で登れる山なので、時間的には十分なのだが、すでにこの連中、路駐組にせよ明らかにオーバーユースのはずである。下は一体どんなことになっているのか。
 安房トンネル開通前の路駐組は駐車場の対面の路肩に縦列駐車を作っていた。狭いながらも国道であり、松本と高山を結ぶ要衝である。当然大型車両の通行もあるわけで、このような低速峠では渋滞の車列もできるだろう。広めの路肩は大型どうしの離合スペースとして確保する暗黙の了解が常識としてあったわけだが、トンネル開通以降、そういったしがらみは一切なくなったのか、広めの路肩は縦列ではなく、多くの車両が有効活用できる直角駐車に変わっていた。
 しかしここが公道であることに変わりなく、駐車禁止区間でないとはいえ、路肩への直角駐車は特に指定がない限り違反である。バブル崩壊以降、コンプライアンスが日本経済を疲弊させた一面も確かにあるが、気にし過ぎだろうか。

●登山データ
2023年10月16日(月曜日)
新中の湯ルート登山口駐車場(標高1,596M)→焼岳(北峰/標高2,444M)、標高差848M
新中の湯ルート登山口駐車場(6時10分出発)→焼岳(北峰山頂/8時31分)、登り所要時間:2時間21分
山頂滞在時間:11分
焼岳(北峰山頂/8時42分下山開始)→新中の湯ルート登山口駐車場(10時25分到着)、下り所要時間:1時間43分
全行程:4時間15分

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