妙高エリア最大規模の赤倉は、草津温泉や野沢温泉と同様、大規模な温泉街をベースに抱える老舗のスキー場である。 上信道・妙高高原インターから10分ほどでアクセスでき、豪雪地帯ではあるが道路の除雪はしっかりしている。 昭和12年に赤倉観光ホテルと共に創業し、その後5つのスキー場の集合体となったが、併呑が進んだ2008シーズン現在、赤倉温泉と赤倉観光リゾートのふたつに集約されている。 全コースを滑るには共通券が必要で、コンビニパック券等の場合は、どちらか一方しか滑れない。赤倉温泉に宿泊する場合は、全山パック券が用意されている。 広大な裾野ゲレンデは緩斜面で占められており、初級者が気持ち良く滑るには実にいいのだが、上級者の遊ぶ場所は、上部のほんの数コースに限られている。 |
赤倉温泉/ホテル千家(せんけ) |
硫酸塩・炭酸水素塩泉
ホテル千家 硫黄臭のある赤倉温泉
赤倉温泉街には多くの温泉宿泊施設が軒を連ね、冬季はスキー客で賑わっている。
源泉は赤倉温泉スキー場上部の北地獄谷で、40℃〜60℃の源泉数本を集合枡にまとめ、数km下の赤倉温泉街まで引いている。
集合枡での源泉温度は51.1℃、各宿泊施設の枡では48℃くらいになり、浴槽では42℃になるとかで、非加水・非加熱の源泉掛け流しである。
お湯は薄く濁っていて、湯花もかなり多い。硫化水素臭もあり、スキー疲れを癒すのによい。
(2008年3月宿泊)
妙高温泉/関川共同浴場・大湯 |
妙高池の平温泉(南地獄谷)/単純泉
関川共同浴場・大湯 共同浴場への入り口
源泉温度62.3℃、pH=8.1、蒸発残留物=580mg/kg
妙高温泉はJR妙高高原駅前に展開する温泉街で、源泉は池の平スキー場上部の妙高山・南地獄谷から、約9kmに亘って引いて来ている。
関川共同浴場・大湯は、地元の人達で賑わっており、安い料金で源泉掛け流し温泉を楽しめる。
ただ、駐車場がなく、特に道幅の狭くなる積雪期は路駐にも苦慮する。多くの地元の人がそうしているように、関川交差点付近に路駐して歩いて行く。酒屋の前のカーブミラーに共同浴場入口の標識が出ているので、それに従って酒屋の脇を入ればよい。
お湯はほとんど無色透明で湯花が少し漂っており、硫化水素臭もする。
営業時間:13時〜20時30分/入浴料:200円/月曜定休
(2008年3月)
全体的に中緩斜面の構成なため、修学旅行生の講習が非常に盛んで、ゲレンデ全体に亘って行われている。また、思考停止状態のボーダーが多く、乗りもしないのにリフトの通路内で仲間待ちをしたり、ゲレンデ中央での座り込みといった迷惑行為が恒常化している。更には迷彩服姿の自衛隊員も多く、平日にも拘らず、特にベースのリフト待ちの行列には辟易とする。 一般客にストレスを与えないため、インストラクターが修学旅行生の前に割り込むよう促してくれるスキー場がある一方、ここ池の平ではむしろ修学旅行生の方が、仲間に遅れないようにと後から割り込んでくる。 一般客リピーターよりも、修学旅行生にウェイトを置いている観があり、滑りを楽しみたい一般スキーヤーにとっては、非常にストレスの大きいスキー場と言える。 かつてゲレンデトップに在ったカナメコースは、難度が高く客のニーズに合わないためか、リフトが廃止されている。 |
池の平温泉/温泉かふぇ・ランドマーク妙高高原 |
池の平温泉/単純硫黄温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)
温泉かふぇ・ランドマーク妙高高原
源泉温度62.3℃、pH=8.1、蒸発残留物=580mg/kg
池の平温泉スキー場の少し下にある温泉付きネットカフェで、同スキー場の営業期間中は24時間営業している。
池の平温泉は、妙高山・南地獄谷から約7kmに亘って引いて来ており、妙高温泉と同じ源泉である。
源泉地の南地獄谷では、源泉を一旦湯釜(熱交換器)に溜め、噴出する高温蒸気に当てる蒸気造成という方法で、お湯の温度を約80℃にまで上げてから、ふたつの温泉地に送湯している。
東日本大震災後まもなくの平成23年5月には、源泉地が土砂崩れで破壊されてしまい、一時温泉の供給が止まってしまったが、同年6月には仮復旧工事が済み、温泉供給が再開されている。
加水なし加温循環ありの内風呂は無色透明のお湯。
露天風呂は源泉地である南地獄谷の狗泥を混ぜていて、黒濁しているとのことだったが、混雑していたためチェックを失念してしまった。
利用料金は時間制になっており、1時間まで880円だが、池の平温泉スキー場のコンビニパック券を購入すれば、1時間分の入浴券と、スキー場でも温泉かふぇでも利用できるドリンク券が付いてくる。
(2012年2月)
大正6年創業の超豪雪スキー場。 すぐ隣の赤倉の積雪量が3メートルなのに対し、関温泉は6メートルを超えている。 平日はリフト一本営業ながら、パウダースノー、深雪滑走を全面に出したプロモーションでファンは多いようだ。 私が訪れた3月中旬は、晴れた日が続いて雪がすっかり締まっていたため、さながら春の山スキーの様相だった。 このオフピステに架かるシングルリフトを是非とも動かして欲しかったが、あまりの積雪量に、人が乗るとおそらく搬器が接雪するかもしれず、致し方なかったかもしれない。 ちなみに、これより上にあった燕温泉スキー場は2007シーズンを以って廃業してしまった。 |
関温泉/旅館・朝日屋 |
ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩泉(低張性中性高温泉)
スキー場の駐車場 朝日屋 赤い湯の風呂 赤い析出物
源泉温度48.4℃、pH=6.0、湧出量毎分570リットル、蒸発残留物=2,000mg/kg
関温泉第一駐車場は有料500円と看板が出ているが、平日は無料である。この駐車場、路面が赤いことにまず驚く。冬季は融雪剤代わりに温泉が流れているのだが、つまりこの赤い析出物が関温泉の特徴である。
駐車場から50メートルほど道路を登ると右手にスキー場入口の看板があり、この入り口横にあるのが朝日屋である。
非加熱・非加水の100%源泉掛け流し。ほとんど無味無臭でかなり赤く濁っている。
関温泉の宿はスキー場周辺に十軒ほどあるが、スキー場のパンフレットによると、どこの宿も一律500円で立ち寄り入浴を受け付けているとある。
入浴料500円
(2008年3月)
燕(つばめ)温泉/ホテル岩戸屋 |
燕温泉(集合升)
ホテル岩戸屋 燕温泉は乳白色
含硫黄−カルシウム・ナトリウム・マグネシウム−炭酸水素塩・硫酸塩・塩化物温泉(低張性中性高温泉)
源泉温度44.8℃、pH=6.4、湧出量毎分758リットル、蒸発残留物=1,300mg/kg
関温泉から更に数km上ると燕温泉の集落にたどり着く。道路の除雪状態も問題ない。
数軒の温泉宿が軒を連ねているが、そこまではクルマでは行けないので、200メートルほど下の広い駐車場から歩いて行く。
お湯は関温泉とはまったく異なる乳白色で、硫化水素臭もある。露天風呂は眼前に雪山が臨めるロケーションで気持ちがいい。
ちなみに、燕温泉のふたつの共同浴場は、冬季は豪雪のため閉鎖している。
入浴料700円
(2008年3月)
意外な気もするのだが、日本一とも言われる実質的標高差1,124メートルを、整備の行き届いた幅広の中斜面がカバーするスキー場である。途中、リフト乗り場などで流れを分断されることもなく、ダイレクトに8.5kmものダウンヒルを楽しめるスキー場は確かに珍しい。 斜度が急過ぎないのでハード過ぎはしないが、ターンをして失速するような斜度ではないので、完走するにはある程度の体力が要求される。 また、最上部にはハードなコブ斜面がふたつある。スーパージャイアントコースの『地獄谷』は、距離は短いものの、38度とも45度とも言われる急斜面で、隣のスーパーモーグルコースは、32度の『天狗の壁』から深いコブが延々と続いている。 |
杉野沢温泉/苗名(なえな)の湯 |
ナトリウム・カルシウム・マグネシウム−塩化物・炭酸水素塩温泉(中性低張性低温泉)
苗名の湯
妙高杉ノ原スキー場のベース下の五差路近くにある日帰り専用施設。
平日、杉ノ原スキー場でリフト修了時刻まで滑り、立ち寄ったところ、7つ8つあるカランにフルチン行列ができるという、異様な盛況さだった。
浴槽も10人ほど入れば一杯なのだが、この激混み状態は一体何なのか。平日スキー、平日温泉をこれまでしていて、苗場スキーセンターや草津の大滝の湯でも、かつて混雑というものにはお目にかかったことがない。
ちなみに温泉は、加水加温循環、塩素消毒である。
営業時間:冬季10時〜21時00分/入浴料:450円/水曜定休、12月〜3月31日は無休
(2007年2月)
積雪が5メートルを越える超豪雪地帯にあり、気象条件付きながらコース外滑走を容認した伝説のスキー場である。 1993年12月に開業し、爆薬を使ったアバランチコントロールや、障害者スキーヤー支援など、レベルの高いスキー場運営が注目を集めたが、コース外をクローズしている日に、勝手に滑って遭難死する心無いボーダーが後を絶たず、物議を醸したスキー場でもある。 バブル景気も終焉を迎えようとしていた最中、訪れるスキー客の憂いを他所に、採算度外視的に増殖させ続けたホテル群を墓標として、2006年7月に経営破綻、僅か13シーズンでその幕を閉じた。 PL法施工以来、管理責任を問われることを惧れ、危険を伴うコースを安易に閉鎖させてしまうスキー場の多い中、ワイルドなスキーシーンを敢えて提供し続けてくれたARAIの努力に対し、閉鎖を悼む声は根強い。 施設内には【ARAIアクアパーク/ゆ】という大規模入浴施設があったが、浴槽にハーブの入った袋を浮かべただけのお湯が、果たして天然温泉だったのかどうかは、疑問のままである。
2017年12月、ARAI MOUNTAIN & SPAは韓国のホテルロッテによりロッテアライリゾートとして12年ぶりに蘇った。 最大の売りである好条件下でのコース外滑走容認を踏襲しているが、バブル終焉期に産み落とされた巨大遺産を償却するためなのか、コンセプトをインバウンド滞在型の高級志向に転じ、富裕層が一般庶民の行列に並ぶことなく優先的にゴンドラとリフトに乗れるファーストクラス券を新設した。1日券の料金は平民には到底手の出ない8,000円と高額設定である。カネはないがコース外の深雪は滑りたいという日帰り平民向けにエコノミー券を発行してはいるが、それでも6,000円とかなり高価だ。 コース外滑走はリフトのカバーしない範囲もあり、スキー場トップの大毛無山の大斜面を滑るには自力でハイクアップしなければならないのは従前どおりで、パトロール管理区域外には無論立ち入れない。大毛無山の山頂は管理区域外なので、パトロール管理票に沿って稜線を小毛無山まで行って滑ることになる。小毛無山までの所要時間は雪質にもよるが概ね1時間である。 |
ロッテアライリゾート/星空温泉 |
大毛無温泉/単純温泉
星空温泉
源泉温度31.4℃、pH=7.52、蒸発残留物=366mg/kg
以前は温泉ではなかった風呂も新たに地下1,750メートルから掘削したという。
ICカードのリフト券は返却時に保証金の1,000円が戻ってくるが、それを券売所ではなく温泉の受付に返すと、通常1,300円のお風呂にそのまま入れる。つまり300円の得である。受付でバスタオルとフェイスタオルが渡される。
脱衣所の手前に貴重品入れがあるが、本当に貴重品しか入らないくらい小さい。暗証番号と指紋認証で無料で利用できる。
内風呂も露天も昔どおりで、露天は円形劇場のような壁面から優雅に流れ落ちる滝に囲まれている。お湯は加水なし、加温循環ありで、若干塩素臭があるがそれほど気にならない。割引でも1,000円なためか利用者は少ない。
営業時間:13時〜23時/入浴料:通常1,300円
(2005年2月/2019年4月)
矢代温泉/矢代ふれあいの里友楽里館(ゆらりかん) |
単純硫黄冷鉱泉(弱アルカリ性低張性冷鉱泉)
友楽里館 矢代温泉
源泉温度10.3℃、蒸発残留物=210mg/kg
ロッテアライの駐車場を少し下った場所にある日帰り温泉センター。
お湯は加水加温循環ありだが、塩素臭は薄く利用者も少なくのんびり浸かれる。
営業時間:10時〜19時/入浴料:480円/木曜定休
(2019年4月)
※【2019年5月15日を以って閉館とのこと】
「非圧雪主義」を旗印にエリア全体の65%を圧雪しないというワイルドなスキー場。 といって全くのほったらかしというわけでもなく、山頂からベースまで下ってくる圧雪コースは急中緩3コースあり、そのいずれもが丁寧な仕事ぶりである。しかし何と言ってもここの売りは、それら圧雪コース間にあるエリアをほぼ全面に亘って解放していることであり、降雪後の晴れた午前中は多くのパウダーフリークがクワッドリフトに列をなし、知らない人同士でも4人で乗って山頂に上がり、怒涛の勢いで新雪を食い尽くしてゆく様は凄まじい。一転それが済む午後1時には、突如凪いだように客が引いてしまう異様さはこのスキー場ならではだろう。 ゲレンデトップからは正面に日本海を見渡せ、左手には鉾ヶ岳が屏風のような異形で聳え立ち、スキー場の名称にもなっている火打山は、スキー場の裏側に焼山を伴ってどっしりと構えている。 能生(のう)の漁港が近いとあって、ゲレ食もいくら丼やカニ丼など日本海の新鮮魚介が食べられ、山頂レストラン「スーシュ」は人気が高い。惜しむらくは客席が少ないことだが、6人掛けのテーブルに外国人と相席し、海鮮メニューの解説をつたない英語でするなど、意外な楽しい時間を過ごせるかもしれない。このお店は麓集落の柵口温泉・対岳荘の経営で、同じく集落の郷の茶店えほんのケーキも食べられる。 |
柵口(ませぐち)温泉/権現荘 |
新柵口温泉1号井・2号井/ナトリウム−塩化物・炭酸水素塩温泉(低張性弱アルカリ性温泉)
柵口温泉・権現荘
源泉温度46.2℃、湧出量毎分138.52リットル(1号2号の合計)、蒸発残留物=2,029mg/kg
シャルマン火打を少し下った集落にある柵口温泉の宿泊施設。内風呂と露天風呂とサウナがあり、お湯は肌がスベスベする浴感である。無料のロッカーあり。
営業時間:9時〜21時/入浴料:510円
(2020年2月)
明治44年(1911年)、日本陸軍の視察に訪れたオーストリア・ハンガリー帝国軍人レルヒ少佐によって、初めてスキーが日本にもたらされた、日本スキー発祥のスキー場である。 少佐は別にスキーを教えに来たわけではなかったが、彼が滞在した陸軍第13師団長の長岡外史により、レルヒのスキー技術は軍用として取り入れられ、のみならず一般市民にまで広まり、それに併せて上越高田はスキー産業発祥の街にもなった。 2011年はスキー伝来100周年だったわけだが、レルヒ少佐はアルペンスキーの開祖ツダルスキーの直弟子であり、その技術や用具は最先端で、日本のスキーの歴史が実はかなり古く、且つ由緒正しいものだというのが実に興味深い。 スキー場の入り口に建つ日本スキー発祥記念館で、そうした歴史を学ぶことが出来る。 金谷山スキー場は、日本海の海岸線から内陸に僅か7kmほどの場所にあり、標高は山頂で134M、ベース部では21Mしかない。 シングルリフト1基、3コースの構成で、1日券はなく、11回券が1,000円である。駐車場はゲレンデ前と日本スキー発祥記念館前に数十台置ける。 日本スキー発祥記念館/入館料:300円、月曜日休館、開館時間:9時〜17時、冬季平日10時〜16時 |
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