湯畑をはじめとする代表的な6源泉の他には、宿泊施設で入れる若の湯、わたの湯、君子の湯といった源泉があり、日帰り入浴を受け付けているところもある。 西の河原公園に行けば、幸の池や鬼の茶釜など、いたるところから湧き出す小さな源泉池を見ることができる。
温泉街に近いベース部には天狗ゲレンデと御成山ゲレンデがあり、ゴンドラで上がった白根山山頂部には、本白根ゲレンデと逢の峰ゲレンデがある。それを振子沢コース、清水沢コース、それと青葉山ゲレンデが結んでいる。 青葉山から上は、樹木の少ない高山風景が楽しめるが、コースの難度が高いので、初中級者には苦しいところだ。 平成30年1月23日10時過ぎに山頂近くで噴火があり、スキー客や訓練中の自衛隊員など12人が死傷した。人のいる清水沢コースに火山弾が降り注ぐ定点カメラの映像は衝撃的だった。ゴンドラや山頂駅も噴石の直撃を受けた。火口周辺2kmに入山規制が布かれたことから、事実上ゴンドラと本白根ゲレンデは閉鎖となり、その後廃止となった。 |
大滝乃湯/煮川源泉 |
煮川源泉/酸性−硫酸塩・塩化物温泉
大滝乃湯 合わせ湯
源泉温度52.5℃、pH=1.95
源泉はすぐ上にある煮川源泉で、広く明るい日帰りセンターは駐車場も無料で100台ほど置ける。狭い共同浴場が苦手な観光客には入りやすい人気の施設である。
男女別の広い内風呂と露天風呂、サウナ、シャワーブース、休憩スペース、飲食施設があり、スキー帰りに寄るには最高であろう。
半地下には、温度の違う5つの浴槽「合わせ湯」があり、こちらは湯治色の強いものとなっている。この合わせ湯は、わざわざ女性専用時間が設定されていることから、それ以外の時間帯は混浴と理解して良いだろう。
1階浴場に男女別の広い脱衣所がある他、地下階には合わせ湯専用の小さな脱衣所がある。
男湯の露天風呂からは外階段を通って裸のまま合わせ湯に移動できるので、男性は1階の脱衣所を利用するのが良い。
女性は裸移動ができず、一旦女湯で着替えてから地下の合わせ湯専用の脱衣所を使うことになるので、男性はこの地下脱衣所の利用は遠慮したほうが良いだろう。
合わせ湯の利用順序は、まず準備運動として湯揉みをし、42℃→45℃→40℃→46℃→44℃の5つの浴槽にそれぞれ1分間入るというものである。この配置と説明書きは壁に貼ってあるのでチェックすると良い。温度の違いは見た目にもわかり、湯温が高くなるほど白濁している。40℃と42℃はほとんど無色透明で、45℃と46℃は真っ白である。
露天風呂の脇には石垣が組まれていて、ここをお湯がカーテンのようにさらさらと薄く流れている。目の悪い人は気付かないほどのものだが、おそらくはこれが、この施設の名前の由来なのではと推測された。
展望は特に利かず、男湯の斜向かいにホテルが建っていて、それが見えるだけである。おそらく向こうからも丸見えなのであろうとも推測できる。
2段構えの露天風呂からあふれたお湯が、傍らの排水溝から轟々と捨てられて行く様は圧巻である。
ちなみに大滝の湯の裏手に何か巨大な施設が構えているが、これは温泉排水の中和施設だとか。
内風呂も露天も白濁した適温で、これらのお湯は煮川源泉とのことだが、合わせ湯の端っこの暗くわかりにくい所に、控えめながら万代鉱源泉が打たせ湯として使われている。
温泉付きリフト券で入れる他、通常の1日券の提示で1割引になる。
これだけ入れれば800円の入浴料も納得の行くものであろう。
営業時間:9時〜21時/無休/入浴料:800円
合わせ湯の女性専用時間:10時30分〜12時/14時〜16時/18時30分〜19時30分
(1993年6月/2006年1月)
西の河原露天風呂/万代鉱源泉 |
万代鉱源泉/酸性−塩化物・硫酸塩温泉(酸性低張性高温泉)
西の河原公園入り口 西の河原大露天風呂
源泉温度96℃、pH=1.5
湯畑から徒歩15分ほどの西の河原公園は、あちこちから温泉が湧き出す荒涼とした風景で、いかにも賽の河原を彷彿させる。
2005年暮れからはじまった大雪が、圧雪された上に、年が明けた1月には何と雨が降り、遊歩道の圧雪路はスケートリンク状になっていた。
入浴セットを持たない手ぶらの一般観光客に混じってこの遊歩道をずんずん進んで行くと、行き止まりの最奥にこの大露天風呂がある。観光客の大半は、風呂には入らず風景だけ見て引き返してしまう。
受付でお金を支払って脱衣所に入る。コインロッカーが設置されているが、脱衣所は浴場の規模に比べるとかなり狭く、休憩所代わりに裸で座り込んでいる人達が狭さに拍車を掛けている。
脱衣所を出ると露天風呂だ。シャワーブースはなく、ただ大露天風呂があるのみである。お湯はpH1.5の強酸性の万代鉱源泉なので、これで洗髪をすれば頭髪はバサバサになってしまう。
とにかく浴槽は広大だ。展望は特に良くもなく、地理的にはすぐ上を国道が走っているのではと推測されるが、森しか見えないのでそれも気にはならない。
時折、露天を囲う塀から顔を出して覗く人がいる。確認はしなかったが、少なくとも男湯の塀の外には遊歩道があるらしく、観光客が覗くようだ。
湯口は一番奥で、奥に行くほど熱い。湯口付近にはとても近づけない。ちなみにこの万代鉱源泉は、草津6源泉中最大の湯量を誇るそうだが、湯口からズドズドと投入されている様を見ると、なるほどと納得させられる。
大浴場の中央に、角張ったひょうたん型の石のテーブルが水没していて、目の悪い私はいきなりこれにぶつかってしまった。湯中り防止用の一時避難場所なのだろうか。判りにくいので目の悪い人は注意が必要だ。
このテーブルを越えた辺りから、かなり熱くなる。この奥にスペースはまだ充分あるのだが、これより奥で入浴している人は一人もいない。目には見えないが、高温のバリヤーがヒトの侵入を阻んでいる。
一体この奥に何があるのか。太陽を目指すイカロスの如く、バンアレン帯に踏み込んでみる。途端に侵入者の下半身は強酸性の高温バリヤーに焼かれる。しかし構わず湯口を目指してガボガボと突き進んで行く。あまりの熱さに、もはやこれまでかと諦めかけたその時、ふと、まったく唐突に、ぬる湯ゾーンに出た。
これは対流の関係で生じるものなのか、それとも神の悪戯か、正に地獄の中に蜘蛛の糸を見た気分だった。
私がそこで身を沈めているのを見て、何人もの男達がこちらに来ようとする。しかし、圧倒的な熱湯バリヤーに阻まれ、呻き声を上げて引き返して行く。どこまで奥に行けるのか、挑まずには居られないのだろう。凄い風呂である。志半ばで挫折し引き返して行く彼らには、私が仙人に見えたに違いない。
また一人、屈強そうな男が高温フィールドに踏み込んだ。丸刈りで筋骨隆々、修行僧のような男だ。彼はこれまでになくズンズン突き進んで来た。一向に苦痛を感じていないようだ。上には上がいると思ったのも束の間、彼は私の目の前まで来ると、そこで動きをピタリと止めた。限界に達したようである。私は修行僧に真理の手を差し伸べた。
「ここはぬるいですよ。そこは熱いけど。」
彼はこちらにじゃぶじゃぶと歩み寄り、ホントだ、と言って私の横に身を沈めた。
ところで、ここのお湯はエメラルドグリーンに見えるが、それはお湯の中に自生するコケによるものである。何というコケなのか。とりあえずオンセンゴケで良いかと思ったが、もしかしたら苔ではなく温泉成分の析出物かもしれないと思い調べて見た。
昔テレビで見たような記憶があるが、はたしてこれは、世界各地の強酸性高温泉に生息するイデユコゴメという原始的な紅藻類だそうで、草津の湯畑とこの西の河原のものは有名なのだとか。オンセンゴケという明快なネーミングがあっさり一蹴されて少し落胆した。
温泉付きリフト券で入れる他、通常の1日券の提示で1割引になる。入浴料500円は納得価格である。
営業時間:9時〜20時/無休/入浴料:500円
(2006年1月)
草津温泉館/万代鉱源泉 |
万代鉱源泉/酸性−塩化物・硫酸塩温泉(低張性高温泉)
草津温泉館 露天風呂
使用温度53℃、pH=2.3
天狗ゲレンデ駐車場から少し下った左側にある、草津ハイランドホテル併設の日帰り温泉施設。
万代鉱源泉は95℃、pH=1.7というものだが、町営温泉基地において8℃の水道水と熱交換させることで、源泉温度を55℃に落としてから各施設に供給されている。当該施設の供給量は毎時8,500リットルとある。熱交換した水道水も、ホテルの厨房などで温水として有効利用されている。
3槽連なった内風呂はそれぞれ温度が異なる。露天風呂とサウナもある。
営業時間:10時30分〜19時/無休/入浴料:800円
(2013年3月)
※【2018年7月閉館】
ベルツ温泉センター/万代鉱源泉 |
万代鉱源泉/酸性−塩化物・硫酸塩温泉(酸性低張性高温泉)
ベルツ温泉センター
源泉温度96℃、pH=1.5
スキーセンターの道向かいにある日帰り温泉センターで、スキー帰りに寄るには一番近い入浴施設である。
下足入れは払い戻し式のコインロッカーで、スキーブーツも収納可能だ。浴場は2階で、脱衣所には100円有料のコインロッカーもある。
天井までガラス張りの展望大浴場だが、スキー場に対して横向きで、眺めは特にどうでも良く、麓方面というか、空が見えるだけである。
ガラス張りの温室然で、天気の良い日中は温泉熱とも相まって冬でも結構暑い。夕方に寄るなら丁度良いかもしれない。プールのような大浴場には万代鉱源泉がガボガボ投入されている。他にシャワーブースとサウナがあり、プールサイドには日光浴の椅子が並べてある。
温泉付きリフト券で入れる他、通常の1日券の提示で1割引になる。
900円の入浴料は割高感があるので、ここは温泉リフト券を行使した方が良い。
営業時間:10時〜19時/無休/入浴料:900円
(2006年1月)
※【2010年8月閉館】
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