源泉・泉質は豊富で、姥湯、鉄湯、苦湯、ラジウム湯、法性の湯など27種類があり、一度入ればその硫黄の香りは家に戻っても数日は肌に残る。 温泉センターや共同浴場はないが、万座温泉スキー場周辺に集中した多くの宿泊施設で日帰り入浴できる。 万座ハイウェイの往復料金がネックになるが、その分遠くのスキー場に行ったものと割り切るしかない。 毎年4月下旬に志賀草津道路が開通するので、その時期ならば渋峠・横手山スキー場と組み合わせて、上からアクセスでき、通行料を節約できる。
有料道路を通らないと来られないためか、平日はがらがらである。その通行料を払ってでも来る理由は温泉であり、この温泉がなければこのスキー場に来る理由はないと言っても過言ではない。ここに来るスキーヤーはあまり金を使わない技巧派というよりも、バンバン金を使いまくるレジャースキーヤーであるべきだろう。 万座山ゲレンデから朝日山ゲレンデに滑り込むと、帰りはコースもリフトもなく、無料シャトルバスを使うか、500メートルほど歩くかになる。バスは午後は10分おきに出ているが、午前中の本数は少ないので注意が必要だ。 ※【朝日山ゲレンデは2012シーズンより営業休止。万座山ゲレンデも2017シーズンは土日月祝日以外は営業休止】 |
豊国館(ほうこくかん)/豊国館苦湯 |
豊国館苦湯/酸性・含硫黄−ナトリウム−硫酸塩温泉
豊国館 豊国館苦湯 露天風呂へ降りる階段
源泉温度75.8℃、pH=2.3
万座温泉スキー場の日帰り駐車場の道向かいに立つ豊国館は、万座では一番早い朝8時から立ち寄り入浴ができ、通常料金も万座では一番安い500円である。豊国館苦湯という自家源泉を持ち、男女別の内風呂と混浴露天風呂、女性専用露天風呂の構成となっている。
男湯と女湯の中央の通路の先の2重引き戸を開けると、一段下がった眼下に露天風呂があり、階段で降りていくという趣向である。正面には万座ハイウェイとバスターミナルが開放的に見渡せ、つまり観光バスやクルマからも見えるということだが、浴槽は雪の壁で見えないにしろ、この階段を全裸で降りて行くのは、何かのショーのようで趣がある。
浴槽は深い。約1メートルもあり、へそまで浸かってしまう。浴槽の縁に段があるが、ここに座ると胸が出てちょっと寒い。肩まで浸かるには中腰でいるか、浴槽内の縁の段につかまって仰向けに立ち泳ぎをしているかになる。少々間抜けな感じだが開放感は良い。
湯口のお湯は熱いが、浴槽が広く露天ということもあり、ややぬるい。長く入るには良いかもしれない。
一方の内風呂は適温を保っていて、露天がぬるいと思ったらここで暖まれる。加水用のホースからは水がちょろちょろ出ているが、ホースを浴槽に入れっ放しにしないよう注意書きがしてある。ちなみにこの男湯の窓からは、露天風呂が丸見えとなっている。
立ち寄り入浴時間:8時〜20時/入浴料:通常500円
(2006年1月)
万座温泉ホテル |
万座山ゲレンデの麓に建つ万座温泉ホテル。
万座温泉ホテル ささ湯 姥湯 鉄湯
ここはいつも沢山の湯治客で賑わっている。通常の日帰り入浴料金は1,000円だが、温泉手形を使えば500円で入れる。
本館内の木造大浴場には長寿の湯として、苦湯、姥湯、滝湯、真湯、姥苦湯、ささ湯の木造湯船がずらりと並んでいる。これを見ただけでも何か健康になりそうである。
万座温泉最古の湯と言われる苦湯が奥の一番大きい浴槽である。これは適温に保たれていて、舐めてみるとやはり酸味がある。その並びの小さい浴槽、姥湯は少しぬる目の設定。対面にある真湯は酸味も臭いもない普通のお湯。滝湯はちょぼちょぼと打たせ湯になっている。全体に浴槽が浅く、寝そべって入る。
この浴室のベランダに出ると姥苦湯とささ湯が並んでいる。つまり露天である。中央に共通の湯口があり、ささ湯の方には笹の葉が詰まった袋が入れられている。この露天の男湯は表の道路を歩く人が近く、目が合うと少し照れくさい。女湯は建物の奥なので、道からは見えにくい。
これだけ入れば十分なのだが、一度服を着てホテルを出て、先ほどの姥苦湯とささ湯の露天を右手に見ながらしばらく歩いて行くと、大露天風呂・極楽湯がある。
これは苦湯と苦湯2、姥湯の混合となっていて、露天の大浴場にしては温度はやや高めである。浸かると体からシュワーっと泡が立ち、先ほどの長寿の湯よりも浴感が良い。男湯と女湯は壁で仕切られている。遠く正面に朝日山ゲレンデが見える。
再度服を着て、すぐ脇の階段を下っていくと、だいぶ年季の入った建物、湯元日進館に着く。ここは万座温泉ホテルの原点だろうか。浴舎の裏手には、湯気が濛々と立ち上る湯畑が見られる。
風呂は鉄湯とラジウム湯があるが、男女入れ替え制となっているので、一辺には両方入れない。また、除雪が間に合わないときは利用できない。
こうしてすべて周ると結構疲れる。帰りは迷路のようなホテル内を歩いて、エレベーターでフロントに戻れる。
ちなみに、立ち寄り入浴時間は10時から15時となっているが、長寿の湯男湯は10時から10時半まで清掃で入れない。長寿の湯女湯と大露天風呂は10時半から11時まで清掃となっているので、この時間に行く場合には注意が必要だ。
2006年1月にはまだあった日進館の建物は、同年12月に来たときには解体されて更地になっていた。浴舎のみがぽつねんと残っている。
行く度に感じることだが、本館の玄関が非常にタバコ臭い。くわえタバコで闊歩する人も少なくなく、せっかく良い風呂に入っても、ここを通る時だけは嫌悪感をおぼえる。
立ち寄り入浴時間:10時〜16時/入浴料:通常1,000円
(2004年3月/2006年1月/2006年12月)
松屋ホテル/ラジウム北光泉 |
ラジウム北光泉/酸性・含硫黄−マグネシウム・ナトリウム−硫酸塩温泉
松屋ホテル ラジウム北光泉
源泉温度76℃、pH=2.5
静かな朝日山ゲレンデのベースに建つ松屋ホテル。ネットやコンビニのパック券の食事はプリンス系レストランでしか使えないこともあり、ここでは静かな食事休憩ができる。
放射状に張られた床板が特徴で、この板の隙間がすべて排水口となっている。取り外しもできるようで、つまり放射状のスノコである。大工のこだわりが感じられる造りだ。
あまり入る人もいないのか、緑色の湯花が底に綺麗に沈殿していて、お湯は澄んでいた。傍らに立てかけてある湯揉み板で掻き回すと、パアッと濁る。ホースからちょろちょろと加水されっぱなしになっていたが、お湯は非常に熱い。中で座ってじっとしていれば耐えられるものの、動くとかなり熱い。湯から上がると体が真っ赤になっていた。しばらく出たり入ったりを繰り返した。
立ち寄り入浴時間:11時〜15時/入浴料:通常700円
(2006年1月)
※【2017年休業中】
万座プリンスホテル/こまくさの湯 |
姥湯/酸性・含硫黄−マグネシウム−硫酸塩温泉
万座プリンスホテル
源泉温度74.6℃、pH=2.4
万座温泉スキー場か、表万座スキー場のリフト券を提示すると、割引料金で入れる。この日は自遊人誌の温泉パスポートを使いタダで入浴した。
内風呂、露天風呂ともに広い。内風呂は男女別だが、露天は男女両方から行けるので実質混浴である。3槽ある露天は成分は同じだが、温度が変えてあり、男湯側が一番ぬるく、女湯側が一番熱い。中央は適温である。この3槽に壁はなく、適温を求めて彷徨っていると、実質的に混浴になってしまう。先に女性が入っていれば、そのことに気付くだろうが、誰も居ないうちは知らずに女湯に居るなんてことが在りうる構造である。
正面には朝日山ゲレンデが見渡せ、向こうからも見えるが、遠いので双眼鏡でもなければ識別はできない。とにかく開放感は抜群に良い。
一方の内風呂はあまり風情がないが、これだけでも充分な満足感に浸れる。
立ち寄り入浴時間:11時30分〜17時/入浴料:通常1,000円
(2006年1月)
万座ホテル聚楽(じゅらく)/法性の湯 |
法性の湯/硫黄泉
万座ホテル聚楽
源泉温度43.8℃、pH=3.2
5月下旬、横手山にスキーに行った帰りに、志賀草津道路から万座に入ってみた。
冬季は有料の万座ハイウェイを使うしかないが、志賀草津道路が開通するとこのように上からアクセスする人が多くなり、なかなかな盛況振りを見せる。本来の入浴料は1,000円だが、温泉手形行使で500円で入れた。
万座の湯としては比較的マイルドな部類だが、それでも硫化水素臭たっぷりの白濁したお湯は、如何にも温泉という感じで気持ちが良い。
内風呂は熱すぎずぬるすぎず、このお湯をゆっくり堪能するのに丁度良い温度になっている。
露天風呂はそれよりやや熱くなっているが、浴槽内のベンチに腰掛けると、胸から上に標高1,800メートルの涼風がすがすがしい。
万座の特徴のひとつであるが、どの施設の露天風呂も展望が大きく開けていて、ここ聚楽の露天からも、ガスを噴き上げる荒涼とした景観が広がっている。
内風呂、露天ともに、ゆっくりと入浴を楽しめるよう、細やかな心尽くしが感じられる。
立ち寄り入浴時間:12時30分〜16時/入浴料:通常1,000円
(2006年5月/2017年2月)
万座亭/白鐵の湯 |
鉄湯1号/酸性・含硫黄−マグネシウム・ナトリウム−硫酸塩温泉【硫化水素型】(酸性低張性高温泉)
万座亭 白鐵の湯
源泉温度80.8℃、pH=2.8
しろがねのゆ、と読むのだろうか。白濁している鉄湯から来ているのか、訊いてくるのを忘れた。ただ、「鉄」という文字は「金を失う」とかで、鉄道会社などではこの文字は避けるとか。
雰囲気の良い内風呂と、ログハウス風の露天風呂という構成。露天の表は駐車場で、向かいの万座温泉ホテルに行く人とかが見える。内風呂は少し深く、蹲踞(そんきょ)姿勢で入るとちょうど良い。
温泉手形を使って500円で入浴。
立ち寄り入浴時間:11時30分〜18時/入浴料:通常1,000円
(2006年12月)
万座高原ホテル/石庭露天風呂 |
万座温泉 露天混合泉/硫黄泉(酸性・含硫黄−ナトリウム・マグネシウム−硫酸塩・塩化物温泉)
万座高原ホテル
源泉温度63.4℃、pH=2.16
本館は崖の上に建っていて、浴場はエレベーターで谷底まで降りたところにある。
コンパクトなシャワーブースで体を洗って外に出ると、随所に大きな石を配した、庭園を思わせる7つの露天風呂が一面に展開している。青いお湯が4個所と、万座では珍しい緑色のお湯が3個所ある。姥湯、鈴湯、大苦湯などからなり、温度もそれぞれ微妙に違う。
脱衣所とシャワーブースは男女別だが、出てきた所は一緒の混浴である。
7つある浴槽で各々自分の居場所を確保し、またはその間を移動するわけだが、混浴状態では微妙な駆け引きが必要になる。絶妙に配置された大きな石がパーテーションとなっているので、上手に利用したい。
この日は自遊人誌のパスポートを使いタダで入浴。
立ち寄り入浴時間:11時30分〜17時/入浴料:通常1,000円
(2006年12月)
2005年の暮れに秋田県泥湯温泉で、硫化水素中毒による観光客の死亡事故が起きた。 ここ草津白根山でも、過去にスキーヤーなどの中毒死亡事故が起きている。 万座温泉もこの硫化水素臭は売りのひとつであるが、相手は自然のことなので、いつ濃度が高くなるとも知れず、また硫化水素ガスは空気よりも重いため、積雪、除雪の状況等によってはガスの滞留場所の発生も考えられる。 群馬県は2006年1月に現地調査を行い、一部施設の換気不十分などを指摘したようだ。また、湯畑などのガス発生場所には、ガス濃度が上がったことを知らせる警報装置を設置したそうである。 スキーヤーら観光客は、安易に立ち入り禁止の看板やロープを越えてはならない。 |
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