草津温泉共同湯

湯畑
草津温泉は、街のいたるところから大小100ヶ所以上の源泉が湧き出し、総湧出量は毎分36,839リットルにもなる。
代表的なものは、湯畑、白旗、西の河原、地蔵の湯、煮川、万代鉱の6源泉で、これらを引湯した無料の共同浴場は18ヶ所もある。

共同浴場は基本的には街の人たちのものである。
観光色の強い湯畑周辺の白旗の湯、千代の湯、地蔵の湯に限っては、オープンに観光客に紹介されているものの、一般住宅地域に点在する共同湯は、15時から21時まで地元専用時間に設定されており、また午前中は清掃時間に当てられていて、観光客の利用はかなり制限されている。
専用の駐車場がないにも拘らず、無理にクルマで乗りつけたり、夜間に大勢で大声を出して騒いだり、勝手に混浴で入ったりと、観光利用者のマナー悪化が問題視されている。
湯畑近くに町営の有料駐車場があるので、スキー場と温泉街を結ぶ無料シャトルバスか、1回100円で乗れる町内巡回バスを利用するという手段もある。
湯畑観光駐車場:2時間まで600円/西の河原公園駐車場:2時間まで550円

草津国際スキー場
草津国際スキー場

1914年(大正3年)に開設され、国内で初めて商用リフトが運用された老舗スキー場。
温泉街のすぐ上の天狗山ゲレンデを玄関口とし、白根山山頂直下の本白根ゲレンデまで、奥行きが深く標高差が大きい。
ここではスキー場ベースのスキーセンター前にある天狗の壁を紹介する。
訪れたこの日は全面コブだったが、端に2本のラインを残して整地してしまうこともある。
ハイシーズンは風が強くて上部ゲレンデのゴンドラが運休することも多いが、そういう日はこのコブも風の影響で硬くなりがちである。距離は短く、比較的インターバルが広いので、ゆったりしたリズムで滑れば攻略できる。

白旗の湯/白旗源泉
白旗の湯
白旗源泉
白旗源泉/酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉【硫化水素型】(酸性低張性高温泉)
源泉温度53.6℃、pH=2.0

湯畑沿いの賑やかな場所にあり、すぐ近くに白旗源泉も見られる。
白旗源泉を使っている共同湯はここだけで、二つある浴槽の温度は微妙に違うものの、非常に熱く浴槽の中ではじっとしているしかない。動くと痛いがそのうち感覚が麻痺してくる。ここは長湯できない。
コンクリートの浴室浴槽が多い草津共同浴場にあって、ここは趣のある木造だが、お湯の成分により床が滑りやすくなっているので注意が必要だ。
入浴時間は5時〜23時に設定されている。
(2005年4月/2006年4月/2022年5月)
千代の湯/湯畑源泉
千代の湯
湯畑源泉/酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉【硫化水素型】(酸性低張性高温泉)
源泉温度53.9℃、pH=2.0

湯畑の下の滝になっているところにある共同浴場で、立地的に観光客の人気が高い。
広い湯畑で冷ましたお湯は、温度も刺激も臭いもマイルドで入りやすい。
湯畑源泉を引いている共同浴場は多く、他に翁の湯、長寿の湯、白嶺の湯、千歳の湯、瑠璃の湯、関の湯、睦の湯、喜美の湯、巽の湯がある。
(2005年4月/2005年5月)
地蔵の湯/地蔵の湯源泉
地蔵の湯
地蔵の湯源泉
地蔵の湯源泉/酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉【硫化水素型】(酸性低張性高温泉)
源泉温度52.3℃、pH=2.0

千代の湯から少し狭い坂道を登ったところにある人気の共同浴場。
地蔵源泉を使っている共同湯はここだけで、白旗の湯や千代の湯が透明のときでも、ここは白濁していることがある。すぐ隣には地蔵湯畑も見られる。
眼病に効くとのことで目を洗ってみたが、しみる。

2006年4月にリニューアルした。入浴時間は8時〜22時に決められている。
8時に一番で行ったら、清掃直後でお湯がまだ少なかった。投入されているお湯も意外に細く、なかなか溜まらない。
(2005年4月/2005年5月/2006年4月)
凪(なぎ)の湯/西の河原源泉
凪の湯
お湯は熱め
西の河原源泉/酸性・含硫黄−アルミニウム−硫酸塩・塩化物温泉【硫化水素型】(酸性低張性高温泉)
源泉温度49.5℃、pH=2.0

西の河原公園では沢山の温泉が池となって湧き出しているが、その西の河原源泉に入れる共同浴場はここだけである。
湯畑から西の河原公園を目指して歩いて行くと、狭い路地に沢山の饅頭屋や土産屋が軒を連ねる賑やかな通りに出る。ここで通る人に片っ端饅頭とお茶を差し出すお店があるので、遠慮なくそれをもらって食べながら、風呂はどこかと尋ねればこの裏だと教えてくれる。
温泉饅頭と言えば無駄に甘いというイメージが強いが、ここの饅頭は意外とさっぱりしていて食べやすかった。
西の河原源泉は結構ぴりぴりする無色透明のお湯で、臭いはあまりしない。この日は熱めの設定になっていた。
(2006年1月)
こぶしの湯/万代鉱源泉
こぶしの湯
水素イオン濃度は1.5だ
万代鉱源泉/酸性−塩化物・硫酸塩温泉(酸性低張性高温泉)
源泉温度96℃、pH=1.5

ここは温泉街から離れた国道292号線沿いの火葬場の近くにあり、湯畑から歩くには少し遠いが、専用の駐車場はない。
この日は温度が適温になっていたためか、それほどびりびりもしなかったが、目を洗ってみるとかなりしみる。舐めてみるとかなりすっぱく、歯が解ける危険を感じた。
観光利用者のマナー悪化が目立つのか、利用時間はかなり限られている。9時から11時半までは清掃で入れず、15時から21時は地元専用時間に指定されている。
万代鉱源泉を使う共同湯は、他に恵の湯、つつじの湯、長栄の湯がある。
(2006年1月)
煮川の湯/煮川源泉
煮川の湯
煮川源泉
煮川源泉/酸性−硫酸塩・塩化物温泉
源泉温度52.5℃、pH=1.95

源泉はすぐ裏手の煮川源泉で、湯畑などの風情あるものとは違いタンクだが、煮川源泉を引いた共同湯はここだけである。
湯ノ花の漂うやや熱めの湯は硫化水素臭も強く、ぬるっとしてびりびりと刺激感がある。肌はたちまちつるつるになる。
すぐ脇の川はその名の通り煮えたお湯が流れているが、この川の名前は煮川ではなく湯川となっている。轟々と流れて行くお湯の川を見ていると、何とももったいなく思えてくる。
(1993年5月/2005年5月)
長栄の湯/万代鉱源泉
長栄の湯
町営住宅の湯
長栄の湯。町営の湯とも書く。
観光宿泊施設が林立する大滝乃湯周辺から坂道を上がった高台に、観光客の来ない一般住宅地域が広がっている。この辺りは湯畑やスキー場の喧騒とはかけ離れた、ごく静かな普通の住宅街である。
その一角にある鉄筋コンクリート造の町営(?)住宅の敷地内に、附帯施設的な佇まいの長栄の湯がある。
RC造りで1階が浴場、2階は集会場だろうか。男湯と女湯を分ける中央の通路の奥には、やはり附帯施設的な中庭公園が広がっている。これはもはや思いっきり、この町営住宅の一部であり、一見して浴場とは判りにくいが、よく見ると建物の脇からは湯気が立ち上っているので、注意深く観察していればそれと判る。
(2006年1月)
長寿の湯/湯畑源泉
長寿の湯
長栄の湯の近くの住宅街にあるが、こちらは刺激もマイルドな湯畑源泉を引いている。
コンクリート造りの浴槽は5人程入れる大きさで、洗い場がL字型に囲っているスタンダードな様式だ。
大滝乃湯のある観光区域を見下ろす高台にあるが、この辺りは完全に生活居住区域である。地元専用色が強く、入っている人は地元の人と思って間違いない。入る時と出る時に一言挨拶すると良い。
(2006年4月)
関の湯/湯畑源泉
関の湯
一人用の湯船
湯畑の近く、観光客の往来の多い西の河原通りに忽然と佇む共同浴場である。
建物の奥行きが狭く、浴槽も草津共同浴場中最小容量で、言ってみれば一人用である。
窓のすぐ外を観光客が絶えず行き交っており、白旗の湯や千代の湯よりも、観光地『草津』の喧騒を壁一枚を隔てて肌で感じることができる“草津銀座”真っ只中の共同浴場である。
(2006年4月)
翁の湯/湯畑源泉
翁の湯
浴室
スキー場から道路標識に従い、ベルツ温泉センター前から温泉街に抜けようとする通りの傍らにあるのがこの翁の湯である。ホテルが多いためか、道が狭い割には交通量がある。
この辺りは湯畑を一段上から見下ろす場所に位置しており、ホテルの建つ観光街から地元住民の生活居住区域に移り変わる境界といった様相を呈している。タクシーなどの往来は多いが、湯畑の喧騒は届かない。
(2006年4月)
喜美の湯/湯畑源泉
喜美の湯
浴室
アーチ型の外観が特徴だが、少し入り組んだ一般住宅地域にあるため、土地鑑のない観光客はなかなかその姿を見ることはできない。浴場前までクルマで乗り付ける人がいるのか、クルマを乗り入れるなという看板が立っている。地区の住民の迷惑が窺える。
共同浴場は観光用ではないので、特に生活居住区域にある施設を利用する場合は注意が必要だ。
(2006年4月)
瑠璃(るり)の湯/湯畑源泉
瑠璃の湯
浴室
湯畑駐車場から坂道を少し上った中央通り商店街の中にある。
湯畑から近いのだが、観光客の人気は薄いようだ。
(2006年4月)
白嶺(しらね)の湯/湯畑源泉
白嶺の湯
浴室
旅館と一般住宅が混在する区画に引っ込んで造られているため発見しにくい。
尤(もっと)も、立地的に地元専用という感が強いので、ことさら観光客に場所をアピールする必要もないのだろう。
適温な湯畑のお湯にのんびりと浸かれる。
(2006年4月)
千歳の湯/湯畑源泉
千歳の湯
浴室
道の駅から湯畑駐車場を目指す中央通りの途中、少し道路からは引っ込んだ場所にある。この辺りは地元の人たちの商業地域という観があり、観光客の姿は見当たらない。千歳の湯も地元専用という感じが強い。
浴室が明るく、お湯も大変気持ちが良い。
(2006年4月)
つつじの湯/万代鉱源泉
つつじの湯
pH=1.5の万代鉱の湯
道の駅のすぐ下にある共同浴場。
その立地条件から観光利用者のマナー悪化の影響が大きいのか、利用時間はかなり限られている。15時から21時は地元専用時間なので、それ以外の人は入れない。また朝の清掃時間も入れない。
道の駅には“車上荒らしに注意”の看板があり、脱衣所には“脱衣所荒らしに注意”の張り紙がしてあった。
(2006年1月)
巽の湯/湯畑源泉
巽の湯
浴槽は広く、その周りをコの字型に洗い場が広く囲っていて使い勝手が良い。
草津から六合村へ抜ける国道292号線沿いにある共同浴場で、入り口前はバス停である。
防犯目的なのか、入り口には人感センサーが着いていて、出入りするとチャイムが鳴る。クルマで乗り付けやすいため、マナーの悪い利用者が多いのかもしれないと想像した。
ちなみにこの国道292号線には歩道というものがなく、それでいて交通量は多い。バスやトラックなどは歩行者近くを走るため、カーブの内側を歩く時は非常に怖い。クルマを停めた中央駐車場(2時間500円)まで戻るまでの間、すっかり粉塵まみれになってしまった。
尤も共同浴場は観光客用ではないので、文句を言う筋合いはもちろんない。最後に駐車場近くのお湯に入りなおせば良い。
(2006年4月)
睦の湯/湯畑源泉
睦の湯
広い湯船
草津熱帯園入口に近い信号を反対側に斜に入って行くと、睦の湯と恵の湯がある。
ここまで来るとすっかり郊外である。
私は中央駐車場にクルマを止めて、何軒か梯子湯しながら歩いて来たが、やはり少し遠い。しかし共同浴場は地元の人達のものであって観光客用ではないので、観光客の私が不満を言う筋合いはない。詰まるところ、公共駐車場から遠い施設は地元専用という事である。
浴槽は広く清潔で、実に気持ちが良い。
湯畑源泉を引湯している施設としては最も湯畑から遠いが、お湯はドバドバあふれていて新鮮で適温、しかも結構肌がつるつるになり、満足感は高い。
(2006年4月)
恵の湯/万代鉱源泉
恵の湯
浴室
睦の湯の前の道を更に奥に歩いて行くと、この恵の湯がある。こちらは水素イオン濃度1.5という強酸性の万代鉱源泉を引いていて、顔を洗うとびりびりする。床はシマ板の鉄板だが、腐食しないのだろうか、ふと老婆心がよぎる。
湯口のバルブを開けすぎると湯温がぐんぐん上がってしまうので、絞り気味にしている。
写真では判らないが、ここには18箇所の共同湯名を列挙した暖簾が掛かっている。これは湯畑から西の河原に抜ける饅頭屋界隈の土産屋(屋号は失念)のオリジナル商品だそうで、私もひとつ購入して家の浴室に掛けている。価格は2,000円だったと記憶している。
(2006年4月)

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