クワガタムシやカブトムシを飼育していると、不要になった色々な廃棄物が発生するが、これらは少し工夫すると他の飼育に再利用することができる。 ここでは、できるだけ捨てないでリサイクルするという観点で、その一例を挙げたいと思う。
但し、再利用することができるというだけで最適な方法ではなく、また使用用途については実験により効果を確認していない項目も含まれているが、興味のある方は是非試して頂きたい。

  • カブトムシ幼虫の糞
  • 菌糸ビンの残り
  • 使用済みマット
  • 使用済み産卵木
◆ カブトムシ幼虫の糞

カブトムシの幼虫は食欲が非常に旺盛なので、マットや腐葉土は固い部分を残してほとんど全部が食べられ糞に変わっていく。 多数飼育しているとその分解速度は凄まじく、大量の糞が発生することになるが、これらはすり潰して再利用するという方法がある。


まずカブトムシ幼虫の糞を取り出す必要があるが、糞は比較的大きくて固いので、マットをふるいにかければ糞だけを取り出せる。 しかし、大量のマットをふるいにかけるのは結構時間がかかるので、糞だけを分別する手間を省くために、マットが糞でいっぱいになるまでエサ交換をしないという方法もある。 但し、マットが完全に糞だけの状態になると幼虫を断食させることになってしまうため、適度なところで見切る必要がある。
取り出した糞は適当な棒などを使ってすり潰すだけで、簡単にリサイクルマットが完成する。
元々使用していたマットによって糞の状態はかなり変わるが、朽木や発酵マット等の木屑を多く与えていた場合は、糞の中身にまだ未消化の木屑等が含まれており、 土状のものと細かい木屑が混じった状態になり、完熟マットのような分解の進んだマットが出来上がる。腐葉土のみを与えていた場合は、土に近い状態になる。
使用に際しては、コバエや雑菌が発生する可能性もあるので、熱処理をしておいた方が無難と思われる。


幼虫の糞1
カブトムシ幼虫の糞
幼虫の糞2
糞をつぶした状態


使用用途説明
カブトムシ幼虫のエサ 一番単純な使用用途は、糞をそのまま再びカブトムシ幼虫に与えることである。幼虫は黒く固まった糞は一切食べないが、潰して粉末状にしたものは食べてくれる。 糞の状態にもよるが、朽木や発酵マット等の良質なエサを与えていた幼虫の糞であれば、栄養的にそれほど問題なく順調に成長しているようだ。 好みにより小麦粉等を添加しても良いかも知れない。
但し、毎回繰り返していくと当然ながら栄養素は減っていくため、あまり好ましいとは言えず、あえて糞を与える利点は全くない。
逆に孵化直後の初令幼虫にとっては、細かく分解の進んだリサイクルマットは最適だと思う。
カブトムシ成虫飼育、産卵用マット 高価な新品マットを使用するのは少しもったいないので、リサイクルマットで十分。
幼虫の糞の臭いによる産卵誘発作用もありそうで、の産卵場所としては最適だと思う。そのまま初令幼虫の飼育に移行できるという利点もある。
ミヤマクワガタ産卵用マット 黒土や腐葉土を細かく粉砕したものが適しているが、カブトムシ幼虫の糞はこれとほぼ同じ状態である。ほとんど土化した状態のものでも、元々黒土を使用するのであるから問題なく使用できそう。
更には小麦粉を少し添加して、幼虫飼育に使用しても良いかも知れない。
まだ試した事はないが、来期は使用してみようと思う。


◆ 菌糸ビンの残り

菌糸ビンを交換する際、まだ食べていない部分があると少しもったいないと感じることがあるかと思う。若干高価な菌糸ビンなので、できるだけリサイクルして有効に使うべきである。
幼虫の食べていない部分はまだ菌糸の効果が残っており、粉砕しても菌糸がまだ再生することが多いので、良質な部分だけを集めて菌糸ビンを復活させることができる。 逆に幼虫が食べた部分はもう菌糸が再生せず効果も残っていないが、通常のマットとしては使用できる。 いずれの場合も使用用途に応じて、細かく粉砕したり加水する等、好みにより調整する。
菌は非常にデリケートなので菌糸本来の効果が持続できる保障はないが、試してみる価値はある。


菌糸1
使用済み菌糸ビンの中身をほぐした状態
菌糸2
左は幼虫が食べた部分を再利用した物。
右は未使用部分のみを詰め直し、菌糸が再生した状態。

使用用途説明
菌糸ビン再生 幼虫が食べていない部分だけを集め、細かくほぐしてまたビンにきつく詰めておけば、数日で菌糸が再生し菌糸ビンが完成する。
若干質が落ちているので、新品の菌糸ビンは少し贅沢だと感じる種類の幼虫には、このリサイクル菌糸ビンが適しているかと思う。
但し、菌が完全に劣化していたり、雑菌が入ると菌糸が再生しない場合もある。詰めるときは菌床ブロックの詰め方同様に注意が必要。
詰め方は矢印 『オオクワガタ飼育マニュアル/幼虫飼育』 参照
コクワガタ幼虫等のマット 幼虫が食べた部分で菌糸が再生しないものは、通常のマット飼育用に再利用する。コクワガタ幼虫の様に劣化したマットでも食べる種類に適している。 特にサイズや成長速度を気にしなければ問題なく使用でき、良質な部分を使用すれば、菌糸ビン同様の効果が出る可能性もある。
各種クワガタ産卵用マット キノコ菌と幼虫の糞の臭いに産卵誘発作用があると思われる。産卵用マットに混ぜたり、そのまま全て使用しても良い。使用する部分は好みにより選択する。
カブトムシ幼虫のエサ 幼虫が食べた部分でかなり劣化した物は、カブトムシ幼虫に与えるのが良い。残さずに全て食べてくれる。


◆ クワガタ幼虫使用済みマット

クワガタ幼虫に使用した古いマットは、劣化が進んでおり他のクワガタ幼虫に流用することはできないが、幼虫の糞も混じっているため、これを活用する方法がある。 好みに応じて水分等を調整して、そのまま使用できるので簡単である。
尚、使用の前には熱処理をしておいた方が無難だが、幼虫の糞の効果が減少する可能性がある。


使用用途説明
各種クワガタの産卵誘発剤 幼虫の糞が混じっているため、産卵用マットに少し混ぜたり、産卵木に擦り込んでおくと産卵誘発作剤の役割を果たす。
ヒラタクワガタ、ノコギリクワガタ等の産卵用マット マット産みの種類のクワガタは、若干劣化の進んだマットを使用することが多いので、リサイクルマットをそのまま使用することができる。
産卵誘発作用もあると思われる。
カブトムシ幼虫のエサ 全く問題なく使用でき、カブトムシ幼虫には最適。


◆ 使用済み産卵木

使用前に剥がした樹皮や、クワガタ幼虫の割り出し後にボロボロになった産卵木も捨てずに活用できる。


使用用途説明
成虫飼育用品 大きめの切れ端は転倒防止用の木片として、樹皮は隠れ場所として飼育ケースのレイアウトに有効活用できる。
コクワガタ幼虫等のマット ボロボロに細かくなった部分は、更に粉砕すればそのままマット飼育に使用できる。 しかし粉砕するのは手間なので、ある程度ばらした状態のものをそのままビンに固く詰めて、コクワガタ等のあまり飼育に気を使わない種類の幼虫に使用する。
もちろん好ましくはない。
カブトムシ幼虫のエサ 多少固くても、腐葉土の中に入れておけば少し柔らかくなり、カブトムシ3令幼虫であれば問題なく食べられ、栄養価も高くて良い。
カブトムシ幼虫は何でも食べるので、捨てようと思ったものは全て天然廃棄物処理場と化したカブトムシ幼虫飼育ケースに投入する。



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