●マテリアル

 初めてスキー用具一式を買うとなると結構お金がかかるのでためらわれるところです。もっともスキー板は使用頻度に応じてへたりますし、スキーブーツに到っては使用しなくても経年劣化するので、長くスキーをしている人でも定期的に買い換えます。
 スキー用具はその使用目的、スキーヤーの技量などに合わせ、毎年多くの製品が発売され、初めてスキーショップに行ってこの中から自分にベストのモデルを見つけることはなかなか困難です。
 新製品が出る一方で一年落ちの売れ残りの製品はかなり価格が下がり、人気のないブランドは半値以下になることもあります。そうした商品が性能が悪いという訳ではないので、最初はこのようなモデルの中なら選択すればリーズナブルに購入することができます。

 スキーブランドはそれまで聞いたことのないものが多く、私の場合、当時知っていたのはヤマハとミズノのみでした。今ではヘッドやロシニョールなど、デパートやスーパーにアパレル商品を並べているブランドもあり、こういう衣服を持っている人にとっては馴染みのあるものになるかもしれません。スキーブランドはフランスを始めとするヨーロッパ製品が多く、他にアメリカ、国産があります。最近は企業の吸収合併が進み、それまで個別ブランドだった板、バインディング、ブーツなど一式を統一ブランドで揃えられるようになり、こうしたメーカーはトータルで性能を発揮すると謳っていますが、統一で購入するか否かはもちろん好き好きです。

スキー予算2〜10万円

 スキーの形状を見るとトップやテール部分に比べてセンター部分が細くくびれています。この曲線をサイドカーブとかラディウスとか、単にRとか言い、ターン弧を決定づける要因の一つになっています。このサイドカーブを雪面に押し付け体重を乗せて踏み込むと、スキー板は丸くたわみ、それによって板の曲線も変化しターン弧の調整をすることができます。
 スキー板はスキーヤーが踏むことでトラックの板バネのようにたわみます。たわむことでサイドカーブが変形しターン弧を深く仕上ることができます。ターン弧が浅いと斜面の下に向かって加速してしまい、暴走に陥りやすくなりますので、滑る技術が伴わないうちは硬い板は避けた方が無難です。
 硬い板は筋力が弱かったり体重が軽かったり、乗る位置が悪かったりすると、たわませることが困難になり、板はターンせずにまっすぐ走ります。乗り位置の調整ができない初級・中級者では乗りこなせずケガをする危険が大きく、乗り位置が良い上級者の場合はたわみと反発を使うことで板の特性を生かした滑りができます。
 初中級者がどれくらい動けないかというと、例としてスキーブーツを履いた状態で垂直飛びをやらせたらまずできません。足首が曲がらないため、その場でひょこひょこしてみますがブーツは地面からまったく浮かず、対して上級者はというと、さらにスキー板を装着した状態でも飛べますし、さらに滑走しながらでも飛ぶことができます。滑走するスキー板の上で自在に動くことができなければ、硬いスキー板は乗りこなせません。
 柔らかい板はたわみやすいので、多少乗り位置が悪くてもターンの導入がしやすくできていているので、初中級者が安全に滑るのに適しています。

ブーツ予算2〜8万円

 ブーツも硬いものは扱いが難しいので柔らかいものを買いましょう。
 プラス1万円ほどの余裕があれば、インナーブーツを自分の足に合わせて熱整形できるものが良いです。熱整形にかかる作業時間は30分ほどで結構ぴったりとフィットします。インナーソールのみを熱整形で作るだけでも違います。
 夏や秋のショップでは楽に履けたブーツも、冬のゲレンデでは硬くなって履けなくなることがあります。スキーブーツは暖房の効いた車内に積んで、スキー場に着いたら冷えないうちに履くのがコツです。

バインディング予算=2〜3万円

 ブーツとスキーを接合するのがバインディングです。
 スキー板をつけた状態で転倒すると、長い板がテコのように作用して足(特に膝)を大きくひねって痛めてしまいます。バインディングは転倒したとき足を痛めない様に板をリリースする機能があります。この解放強度はショップでの問診で決まり、自分の体重やレベル以上に締め付けると、いざというときに外れず怪我をするので注意が必要です。

プレート予算1万円

 板とバインディングの間に挟んで、高下駄のようにするアイテムがプレートです。これはハイスピードでカービングターンをした時に、板を深く倒しこんでもブーツが雪面に着かないという利点がありますが、トラックの板バネが増えたようなもので、コブ斜面など大きいリバウンドを受ける状況では扱いが難しくなります。最初からプレート付きで販売している板もありますが、プレートはチューンアップアイテムと考えたほうが良く、初中級者は、ないほうが良いでしょう。

ストック予算=5千円〜2万円

 バランスをとる補助として使ったり、リフトの乗り降りの際に使います。
 綱渡りの人が天秤棒を持ってバランスをとっていますが、似たようなものと思って良いでしょう。安いストックは転んだ時曲がってしまいますが、カーボン製ものは強い衝撃を受けると折れることがあるものの、曲がることはありません。しかし悲しいかな初心者はスキー板のエッジでストックを踏んでしまうというサガを持っているため、この連続攻撃にはどんなストックも耐えられません。
 雪の上でストックを持つと先端のリングの下、尖っている石突の部分が雪に刺さります。この状態で肘が90度に曲がっているのが目安で、ショップでこれを再現するにはストックを逆さにしてリングの下を握ります。

ウエア予算=1〜5万円

 肩が動かしやすいものが良いです。撥水スプレーを掛ける場合は、屋外など通気の良いところで行います。窓を閉め切った車内では酸欠を起こすので危険です。
 スキー場での着替えは更衣室を使うのが一般的ですが、車中や車外で行う人もいます。

グローブ予算=2千円〜2万円

 手を動かしやすいものを選びましょう。

ゴーグル(スポーツサングラス)予算=2千円〜2万円

 スキー場は曇っていても紫外線が強く、裸眼では白内障になる危険があります。
 色の濃いレンズの場合瞳孔が開き、サングラスの隙間から入った紫外線が、開いた瞳孔から入ってしまい目を痛めます。隙間が少ないスポーツサングラスかゴーグルで、あまり色の濃くないUVカットのものが良いでしょう。上達志向が強いアクティブな方は顔面転倒することもあるのでゴーグルの方をお勧めします。

帽子予算=千円〜5千円

 強力な紫外線が頭髪を痛めることも考慮しなければなりません。どこからともなくスキー板が吹っ飛んでくることもありますし、ゲレンデでの衝突事故など帽子一枚の有無がダメージの違いになって現れます。

ヘルメット予算=5円〜2万円

 カービングスキー登場以前はヘルメットを被るのは競技スキーヤーのみで、ゲレンデスキーヤーは帽子が定番でしたが、カービングスキーの台頭と、初級スノーボーダーの増加にともない、ゲレンデでの衝突事故やコースアウトしての立木への激突が増えてきた観があり、こうした事象を鑑み、自転車通学の小中高生並みに、ゲレンデスキーヤーにもヘルメットの着用が普及しつつあります。昔は卵のようなレース用しかありませんでしたが、最近はゲレンデスキーヤー受けするようなラインナップも充実しています。

ネックウォーマー予算=千円

 やはり真冬の雪山は寒いので、口から鼻まで覆えるものが必需品です。

日焼け止めクリーム

 スキー場は紫外線が強いので、天気の好い日は一日で真っ黒になってしまい、唇はタラコのようにパンパンになります。肌の弱い人は必需品です。

ワックス予算=2千円〜1万円

 スキーは滑走面にワックスを塗らないと、アイスバーン以外ではほとんど滑りません。ワックスもいろいろありますが、とりあえず簡単なリキッドワックスで良いでしょう。スキーに嵌まりだしたら固形ワックスのアイロン掛けも試してみてください。

傷害保険掛け金3千円/年

 どんなにうまくなっても、どんなに気を付けていても、人間過ちは犯します。
 人にぶつかって怪我をさせるということは、いつかは起こり得ます。技術の上達とともに滑走スピードが上がれば事故の衝撃も大きくなります。やってしまったことは仕方がないので、その後のことに誠意ある対応を取るためにも、スポーツ傷害保険などに加入しましょう。
 スキー・スケート保険では傷害のほか、用具の盗難にも対応するものもあります。あらかじめ自分の板のシリアルナンバーは、携帯で写真を撮って保存しておきましょう。
 また、スキー場によってはリフト1日券に傷害保険が含まれている場合もあるので、購入の際に確認しましょう。

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