◆ 2010/7/21 中国広東省

現在、仕事の都合で中国広東省深せん市に駐在しており、既に4年以上が経過したが、今回初めて中国でカブトムシを採集したので紹介したい。
特に採集に出かけた訳ではないが、会社帰りに門の外灯にカブトムシらしき甲虫が落ちており、 珍しかったので、とりあえず部屋に持ち帰ってみた。

写真1
会社の照明にはコガネムシ、カナブン系の甲虫がよく飛んで来るので、今回も最初はそう思っていたが、 カブトムシであることに間違いはなさそうだ。

日本のカブトムシとはかなり違う形状をしており、調べてみると、東南アジア全域、オーストラリア等に広く分布しているヒメカブトムシのようだ。 中国南部に生息しているこの個体はXylotrupes gideon kaszabi という亜種らしい。
写真2
あまり頭角が発達していないが、別の日に見かけたの死骸も同じようなサイズだったので、この地域のヒメカブトの標準サイズはこのくらいなのかもしれない。
その他の地域に生息する亜種ではもう少し大型になるようで、色も赤味が強い種類もいるようだ。
日本のカブトムシより小型だが、爪が鋭く、触るとギィギィと音を立てて威嚇してくるので、名前のわりにはあまり可愛気がない。

更に別の日にヒメカブトムシらしきを2頭捕まえたので、 とりあえず一緒にしてみるとすぐに交尾を始めたので、同種であることが分かった。
会社の工場周囲は工業地域であるにも関わらず、この付近で自然発生していることは間違いないようだ。

写真3
現在、中国の寮には飼育用品は一切ないため、とりあえず芳香剤の空き容器の中に、古くなって雑巾代わりに使用していたタオルを切って敷いてみた。
フタは完全に閉めなければ通気も問題なく、脱走も不可能だ。
エサはナタデココ入りマンゴジュースをそのままタオルにかけておいた。 タオルは足場にもなるし、身を隠すマット代わりにもなり、エサを含ませる脱脂綿代わりにもなるので、意外と万能なアイテムだということが分かった。

この後しばらく飼育していたが、大した世話もできず劣悪な環境下であったにも関わらず、2ヶ月くらいは生きていた。 そのまま飼育していても繁殖させる飼育用品がなかったので、最後はリリースしてしまったが、かなり丈夫な種類のようだ。
会社工場は深せん市郊外にあるが、市内に比べると少し田舎で、工場周囲だけ局地的に緑が多く残っているので、 色々な野鳥やカエル、カタツムリなどと共に、トンボ、チョウ、カマキリ、カナブン、ホタルなどの昆虫も多く生息している。 自然保護を全く考えていないと思われる中国の工業地域なので、さすがにカブトムシ、クワガタが生息できる環境ではないと思っていたが、探せば意外とまだ他にもいるのかも知れない。

写真4
ちなみに写真が工場内でたまに見かけるホタル。
間違っても水が綺麗な場所ではないが生存可能なようだ。
有名なゲンジボタルの幼虫は水生で、綺麗な水に生息するカワニナをエサとするのに対し、本種の幼虫は陸上で見られるため、陸生でカタツムリをエサにしていると思われる。
この他にも東南アジアには様々なホタルが棲息しているらしい。

[2010年 中国での採集合計数]
種類
ヒメカブトムシ12

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