【 ノコギリクワガタ 】 Prosopocoilus inclinatus
亜種棲息地
Prosopocoilus inclinatus inclinatus北海道、本州、四国、九州 etc
Prosopocoilus inclinatus miyakejimaensis伊豆諸島(新島、式根島、神津島 etc)
Prosopocoilus inclinatus mikuraensis伊豆諸島(御蔵島)
Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis大隈諸島(黒島)
Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis大隈諸島(硫黄島)
Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis大隈諸島(口永良部島)
◆原名亜種 ○亜種 日本産 

ノコギリクワガタ (原名亜種)
Prosopocoilus inclinatus inclinatus (Motschulsky,1857)
ノコギリクワガタ♂ノコギリクワガタ♀
体長25.8〜77.0mm、25.0〜41.5mm
(2012年現在の飼育個体最大は73.7mm)
分布北海道、本州、四国、九州、奥尻島、飛鳥、粟島、佐渡島、初島、伊豆諸島(大島、利島)、隠岐、瀬戸内海離島、対馬、壱岐、五島列島、甑島列島、大隈諸島(種子島、屋久島)
(国外では、朝鮮半島、済州島、鬱陵島にも棲息する)
矢印 『棲息分布図』
形態♂♀共に赤褐色〜暗赤褐色。
は大きく湾曲した大アゴを持ち、数本の内歯がある。体の大きさにより大アゴの形状は著しく変化し、中型のは湾曲が弱くなり、更に小さい個体は全く湾曲せず内歯が消失する。
は丸い体型をしており、前脚の脛節が太いのが特徴的。
生態比較的低地でも良く見られ、広葉樹の樹液に集まる。
成虫の活動期間は6月〜9月で、夜間の活動が中心となり、日中は樹上の日陰や木の根元で休むことが多い。飛翔性はやや高い。
は好戦的で相手を挟んで投げ飛ばす。
産卵は朽木の根部や倒木の下の土中で行われ、幼虫は孵化してから朽木に食い進む。幼虫期間は1〜2年で、朽木から脱出して土中に蛹室を作る。
羽化した成虫はその年の夏に活動することはなく、そのまま蛹室内で越冬し翌年の初夏に活動を開始する。
寿命 活動を開始してからの成虫の寿命は2〜3ヶ月で、越冬することはない。
採集【難易度】 ★★☆☆☆
比較的低地のクヌギ等の広葉樹を中心とした雑木林に棲息し、個体数も多い普通種。
ルッキング、灯火採集が中心で、九州離島、沖縄諸島産のように果実等のトラップには集まらない。 振動に敏感で、木を揺らしたり蹴ったりすると、脚を縮めて落ちてくる事が良くある。
飼育 ◆成虫飼育
【難易度】 ★☆☆☆☆
飼育は比較的容易で、マットの湿度は若干高めが良い。
は複数一緒にしない方が良いが、♂♀は一緒でも特に問題はない。

◆産卵方法
【難易度】 ★★☆☆☆
産卵形態はマット産み。
湿度高めの比較的発酵の進んだ粒子の細かいマットや、黒土を若干きつく深めに入れ、柔らかく水分の多い小さめの朽木をいくつか入れておくと、容易に産卵させることができる。
飼育ケースの底面や側面に産卵することが多く、確認しやすい。

◆幼虫飼育
【難易度】 ★★☆☆☆
幼虫はマット飼育が基本で、水分量は多めが良い。
菌糸ビン飼育も可能だが、あまり効果はない。
常温飼育では2年1越型が多く、温室での飼育ではほとんどが1年1越型となる。
羽化した成虫は、常温飼育、温室飼育に関わらず、その年の夏に活動することはなく、そのまま翌年の初夏まで蛹室内で休眠する。
写真矢印 『Photo Gallery』
ミヤケノコギリクワガタ (亜種)
Prosopocoilus inclinatus miyakejimaensis Adachi,2009
体長25.6〜68.0mm、24.0〜38.0mm
分布伊豆諸島(新島、式根島、神津島、三宅島)
矢印 棲息分布図 (小窓表示)
形態♂♀共に赤褐色〜暗赤褐色で、原名亜種よりやや暗色の傾向がある。
体型は原名亜種に比べ頭部がやや細い。
の大アゴは短く、やや内側に湾曲する。また、原歯型個体の小歯は不明瞭。
生態オオバヤシャブシ、タブ、カラスザンショウの樹液に集まる。
採集【難易度】 ★★☆☆☆
ルッキング、果実トラップ、灯火採集ともに可能で、個体数も多い。
備考2009年に亜種として記載された。
和名はノコギリクワガタ伊豆諸島南部亜種、イズノコギリクワガタとされる場合もある。
ミクラノコギリクワガタ (亜種)
Prosopocoilus inclinatus mikuraensis Matsuoka et Takatoji,2010
分布伊豆諸島(御蔵島)
矢印 棲息分布図 (小窓表示)
形態♂♀共に赤褐色〜暗赤褐色。
形態はミヤケノコギリクワガタに似るが、体型が細長い、付節が細長い、上翅末端が丸みを帯びる等の特徴がある。
採集※2004年より御蔵島は昆虫採集全面禁止となっている。
備考2010年に亜種として記載された。
クロシマノコギリクワガタ (亜種)
Prosopocoilus inclinatus kuroshimaensis Shimizu et Murayama,2004
体長31.0〜69.5mm、25.0〜41.1mm
(2012年現在の飼育個体最大は74.0mm)
分布大隈諸島(黒島)
矢印 棲息分布図 (小窓表示)
形態♂♀共に赤褐色〜黒褐色で、少ないながら黒褐色の個体が存在する。
原名亜種に比べ横幅が広く、光沢が強い。
の大アゴは太く短めで、大きく湾曲するのが特徴。
採集【難易度】 ★★☆☆☆
果実トラップ、灯火採集が中心となる。
個体数は多く、大歯型の個体も比較的多く見られる。
※2006年より三島村(黒島、硫黄島、竹島)は昆虫採集全面禁止となっている。
備考2004年に亜種として記載された。
ミシマイオウノコギリクワガタ (亜種)
Prosopocoilus inclinatus mishimaiouensis Shimizu et Murayama,1998
体長28.0〜68.8mm、25.0〜35.0mm
(2012年現在の飼育個体最大は73.8mm)
分布大隈諸島(硫黄島)
矢印 棲息分布図 (小窓表示)
形態♂♀共に赤褐色〜黒褐色。
原名亜種に比べ腹部が大きく、やや光沢がある。
の大アゴは原名亜種と比較してやや短めで湾曲が弱く、第一内歯と第二内歯の間隔は若干離れている。
また、大アゴの発達が悪く60mm程度にならないと大歯型にならないため、大歯型はあまり見られない。
採集【難易度】 ★★★☆☆
果実トラップ、灯火採集が中心となる。
個体数はあまり多くなく、大歯型の採集は難しい。
※2006年より三島村(黒島、硫黄島、竹島)は昆虫採集全面禁止となっている。
クチノエラブノコギリクワガタ (亜種)
Prosopocoilus inclinatus kuchinoerabuensis Shimizu et Murayama,1998
体長26.9〜71.0mm、25.0〜37.4mm
(2012年現在の飼育個体最大は70.1mm)
分布大隈諸島(口永良部島)
矢印 棲息分布図 (小窓表示)
形態♂♀共に赤褐色。
原名亜種より頭部、胸部が細い、腹部が大きい、脚が長い等の特徴がある。
の大アゴは原名亜種と比較して細く、湾曲が弱い。第一内歯と第二内歯の間隔は離れている。
また、大アゴの発達が悪く60mm程度にならないと大歯型にならないため、大歯型はあまり見られず、50mm以下の原歯型個体が多い。
採集【難易度】 ★★☆☆☆
果実トラップ、灯火採集が中心となる。
個体数は多いが、小型の原歯型が多く、大歯型の採集は難しい。

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