【 アマミノコギリクワガタ 】 Prosopocoilus dissimilis
亜種 | 棲息地 |
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◆Prosopocoilus dissimilis dissimilis | 奄美諸島(奄美大島、加計呂麻島 etc) |
○Prosopocoilus dissimilis elegans | トカラ列島(口之島、中之島 etc) |
○Prosopocoilus dissimilis makinoi | 奄美諸島(徳之島) |
○Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus | 奄美諸島(沖永良部島) |
○Prosopocoilus dissimilis okinawanus | 沖縄諸島(沖縄本島、水納島 etc) |
○Prosopocoilus dissimilis hayashii | 沖縄諸島(伊平屋島) |
○Prosopocoilus dissimilis kumejimaensis | 沖縄諸島(久米島) |
◆原名亜種 ○亜種 日本産
アマミノコギリクワガタ (原名亜種) Prosopocoilus dissimilis dissimilis | |
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体長 | ♂26.3〜79.5mm、♀24.2〜40.3mm (2012年現在の飼育個体最大は♂80.3mm) |
分布 | 奄美諸島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島)![]() |
形態 | ♂♀共に黒色〜黒褐色。稀に赤褐色の個体も見られ、奄美大島、加計呂麻島では少ないが、請島、与路島ではその比率が高い。 ♂は非常に大型で、国産ノコギリクワガタでは最大。大アゴは大きく湾曲し、第一内歯と第二内歯は近接しており、ほぼ中間に位置する。 本土のノコギリクワガタと比較し、全亜種とも頭盾は細長く先端が2つに割れるのが特徴。 ♀は上翅に縦隆条(スジ模様)を持つ。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月〜9月で、7月上旬〜中旬に最も個体数が増す。 夜行性でアカメガシワ、タブ、シイ、ミカン等の樹液に集まる。 産卵は朽木の根部や倒木の下の土中で行われ、幼虫は孵化してから朽木に食い進む。幼虫期間は1〜2年で、朽木から脱出して土中に蛹室を作る。 羽化した成虫は、基本的にはその年の夏に活動することはなく、そのまま蛹室内で越冬し翌年の初夏に活動を開始するが、初夏までに羽化した個体は、休眠せずにその年の夏に活動する場合もある。 |
寿命 | 活動を開始してからの成虫の寿命は2〜3ヶ月で、越冬することはない。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 7月上旬〜中旬が最盛期で、奄美大島では最も多く見られる普通種。 加計呂麻島、請島、与路島では個体数はやや少ない。 果実トラップ、灯火採集が有効で、♂60mm台後半の大歯型個体も多く採れる。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 飼育は比較的容易で、マットの湿度は若干高めにし、♂は複数一緒にしない方が良い。 ◆産卵方法 【難易度】 ★★☆☆☆ 産卵形態はマット産み。 湿度高めの発酵の進んだ細かいマットを若干きつく深めに入れ、柔らかく水分の多い小さめの朽木をいくつか入れておくと、容易に産卵させることができる。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 幼虫はマット飼育が基本で、水分量は多めが良い。 菌糸ビン飼育も可能で大型個体が狙える。常温飼育では2年1越型が多く、温室での飼育ではほとんどが1年1越型となる。 |
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トカラノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis elegans | |
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体長 | ♂22.7〜74.2mm、♀19.5〜38.1mm (2012年現在の飼育個体最大は♂76.6mm) |
分布 | トカラ列島(口之島、中之島、諏訪之瀬島、悪石島、臥蛇島)![]() |
形態 | ♂♀共に黄褐色〜赤褐色が基本だが、黒褐色の個体も見られ、変異に富む。 ♂の大アゴ形状は原名亜種に似る。 ♀の上翅には縦隆条(スジ模様)があるが不明瞭。 [口之島産] 中之島産に次いで大型になるが、♂50mm以下の小型個体が多く、♂65mm以上は少ない。
体色はやや暗めだが、逆に黒褐色型の比率は非常に少ない。 [中之島産] 最も大型となり、♂60mm程度の個体も比較的よく見られる。
最大体長♂74.2mmは当産地の採集個体。 体色は最も明るく鮮やか。黒褐色型も見られる。 [諏訪之瀬島産] ♂50mm以下の小型個体が多く、♂60mm以上の大型は少ない。
♂の大アゴはやや短い傾向がある。 体色は他産地よりも暗めで、黒褐色型の比率がやや高い。 [悪石島産] 他産地よりも小型の比率が高く、♂50mm以下の小型個体がほとんどで、♂60mm以上の大型は少ない。
体型はやや太く、♂の大アゴは短めの傾向がある。 体色は明るく鮮やかだが、中之島産よりは若干暗め。黒褐色型も見られる。 [臥蛇島産] 形態、体色は諏訪之瀬島産に似る。
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生態 | 成虫の活動期間は6月〜9月で、7月上旬〜中旬に最も多く見られる。 昼夜を問わず活動し、タブ、カラスザンショウ、アカメガシワ、クサギ等の樹液に集まるが、樹木の高所を好む傾向がある。 初夏までに羽化した個体は、休眠せずにその年の夏に活動する場合もある。晩夏〜秋にかけて羽化した個体は、そのまま蛹室内で越冬し、翌年の初夏に活動を開始する。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 果実トラップ、夜間の灯火採集が中心となる。 悪石島を除き、果実トラップは樹木の高所に設置しないとほとんど効果が無い。 ※2004年より十島村(トカラ列島全島)は昆虫採集全面禁止となっている。 [口之島/中之島] 果実トラップの高所設置、灯火採集が有効。
[諏訪之瀬島] 個体数は少なめ。
果実トラップの高所設置、灯火採集が有効。 [悪石島] 個体数は多いが、小型の個体が多い。
日中のルッキングや果実トラップが有効。 [臥蛇島] 個体数は非常に少ない。
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飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 原名亜種と同じ。 ◆産卵方法 【難易度】 ★★☆☆☆ 原名亜種と同じ。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 原名亜種と同じ。 |
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トクノシマノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis makinoi | |
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体長 | ♂28.5〜76.2mm、♀25.3〜39.3mm (2012年現在の飼育個体最大は♂74.1mm) |
分布 | 奄美諸島(徳之島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒褐色。 体型は原名亜種に似ており、体長もこれに次いで大型となる。 大歯型♂の大アゴ形状は原名亜種と比較し、湾曲がやや弱く、第一内歯と第二内歯の間隔が若干広くなる。 ♀の上翅の縦隆条(スジ模様)は原名亜種ほどはっきりしない。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月〜10月で、7月に最も個体数が増す。 夜行性でミカン等の樹液に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 果実トラップが中心だが、灯火採集も有効で、個体数も多い。 ♂67mm以上の大型個体は少ない。 |
オキノエラブノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis okinoerabuanus | |
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体長 | ♂22.9〜64.5mm、♀19.0〜31.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂69.0mm) |
分布 | 奄美諸島(沖永良部島)![]() |
形態 | ♂♀共に黄褐色〜赤褐色。特に上翅は黄褐色の個体が多い。 体型は亜種中で最も細い。 ♂の大アゴはやや細く短めで、湾曲が弱い。 第一内歯と第二内歯の間隔は離れている。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月〜9月で、7月上旬に最も個体数が増す。 基本的には夜行性だが、昼間に活動する個体も見られる。 タブやタラの樹液に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ 果実トラップにはあまり集まらないため、日中のルッキング採集が中心になる。 夜間の灯火採集も可能。 個体数はあまり多くないため採集はやや難しく、大歯型の比率も少ない。 |
オキナワノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis okinawanus | |
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体長 | ♂23.6〜71.2mm、♀24.1〜34.9mm (2012年現在の飼育個体最大は♂75.1mm) |
分布 | 沖縄諸島(沖縄本島、水納島、屋我地島、古宇利島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒色。 基本的には赤褐色でやや光沢のある個体が多く、黒化型は少数。 形態はオキノエラブノコギリに近く、体型はやや細い。 ♂の大アゴはあまり湾曲せず、第一内歯と第二内歯の間隔は離れている。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月〜10月で、7月中旬〜下旬に最も多く見られる。 夜間の活動が中心で、ミカンの樹液に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ ミカンの樹液に多く集まり、個体数も多い。果実トラップ、灯火採集も有効。 個体数は多いが、♂50mm以下の小型個体がほとんどで、♂60mm以上の大型は少ない。 |
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イヘヤノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis hayashii | |
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体長 | ♂25.9〜59.6mm、♀22.7〜31.3mm (2012年現在の飼育個体最大は♂63.0mm) |
分布 | 沖縄諸島(伊平屋島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒褐色。 クメジマノコギリクワガタに似るが、体型は亜種中で最も太く短い。 また、♂の大アゴはより短く、湾曲が弱い等の特徴がある。 第一内歯と第二内歯の間隔は離れている。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月下旬〜9月で、8月に最も多く見られる。 夜間の活動が中心で、タブの樹液やアダンの実に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ 8月に入ってから個体数が増すが、♂40mm以下の小型個体が多く、♂50mm以上の大型個体は少ない。灯火にも飛来する。 |
備考 | 2009年に亜種として記載された。 |
クメジマノコギリクワガタ (亜種) Prosopocoilus dissimilis kumejimaensis | |
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体長 | ♂24.7〜64.2mm、♀22.0〜36.7mm (2012年現在の飼育個体最大は♂65.9mm) |
分布 | 沖縄諸島(久米島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒色。 体型はやや太く短め。 ♂の大アゴは太めで短く、緩やかに湾曲する。 第一内歯と第二内歯の間隔は離れている。 |
生態 | 成虫の活動期間は6月〜9月で、7月中旬以降に最も多く見られる。 夜間の活動が中心で、ミカンやタブの樹液に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 果実トラップが中心だが、夜間の灯火採集も有効。 ♂55mm以上の大型個体は少ない。 |