【 ミヤマクワガタ 】 Lucanus maculifemoratus
亜種 | 棲息地 |
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◆Lucanus maculifemoratus maculifemoratus | 北海道、本州、四国、九州 etc |
○Lucanus maculifemoratus adachii | 伊豆諸島(大島、利島、新島 etc) |
○Lucanus maculifemoratus dybowskyi | 朝鮮半島 |
○Lucanus maculifemoratus boileaui | 中国 |
○Lucanus maculifemoratus taiwanus | 台湾 |
◆原名亜種 ○亜種 日本産
ミヤマクワガタ (原名亜種) Lucanus maculifemoratus maculifemoratus | |
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体長 | ♂29.9〜78.6mm、♀25.0〜46.8mm (2012年現在の飼育個体最大は♂78.0mm) |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、択捉島、国後島、奥尻島、飛鳥、佐渡島、隠岐諸島、五島列島(福江島)、甑島列島、大隈諸島(黒島) |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒褐色で、全身に金色の微毛を有する。全ての脚の腿節に黄色の紋があるのが特徴的。 ♂は頭部後方に大きく張り出した耳状突起がある。大アゴは緩やかに湾曲し、先端で2つに割れる。根元に大きな第一内歯があり、先端に3対の小さな内歯がある。 大アゴの形状は個体差が大きく、第一内歯の発達具合により、基本型、フジ型(第一内歯が長い)、エゾ型(第一内歯が短い)に分類され、北海道や高標高に棲息する個体はエゾ型が多い。 ♀の大アゴは太く、体型も独特で若干ツヤがある。 黒島に棲息する個体は、イズミヤマクワガタに似た形態を持つ。 |
生態 | 標高の高い山地に多く見られ、広葉樹の樹液に集まる。 成虫の活動期間は6月〜9月。 昼夜とも活動し、気温の低い地域では日中の活動が中心になる。樹上にいることが多く、飛翔性はやや高い。 ♂は気性が荒く好戦的だが、挟む力は比較的弱い。 産卵は朽木の根部や倒木の下の土中で行われ、幼虫は孵化してから朽木に食い進む。幼虫期間は1〜2年で、朽木から脱出して土中に蛹室を作る。 |
寿命 | 活動を開始してからの成虫の寿命は2〜3ヶ月で、越冬することはない。 |
採集 | 【難易度】 ★☆☆☆☆ 標高の高い山地に多く見られる普通種。 ルッキング、灯火採集が中心で、果実等のトラップには集まらない。 日中でも樹上で休んでいることが多く、振動に敏感なため、木を揺らしたり蹴ったりすると脚を縮めて落ちてくる事が良くある。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 成虫の飼育は難しくはないが、高温に弱いため比較的早く死亡してしまう。マットの湿度を若干高めにし、25℃程度の低い温度で飼育すると長生きする。 ♂は非常に好戦的で、他の♂だけでなく♀も挟み殺す場合があるので、ペアリング時以外は個別に飼育する方が無難。 集光性が高く、飼育ケース内を明るい方向に向かって歩き続けることが多いが、本来樹上の生活が中心のため、転倒すると起き上がれずに死んでしまうことが良くある。 そのため、転倒防止用の止まり木や木片を多めに入れる、またはマットを深く入れておく等の対策が必要となる。 ◆産卵方法 【難易度】 ★★★☆☆ 産卵形態はマット産みだが、飼育下で産卵させるのはやや難しい。飼育ケースの底に黒土を3cmほど固く詰め、その上に腐葉土を細かく粉砕したものか微粒子の発酵マットをややきつめに入れておくと産卵させることができる。 低めの温度とマットの細かさ、詰め方がポイントとなる。 卵はあまりケースから見えることがないが、♀がマットに潜って出て来なくなると産卵に成功している可能性が高く、そのままマット内で死亡することが多い。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★★☆☆☆ 幼虫はマット飼育が基本で、腐葉土に20〜30%の朽木マットを混ぜて細かく粉砕したもの、または発酵の進んだ微粒子マットを使用する。水分量はやや多めが良い。 幼虫同士の共食いが少なく、初期の幼虫であればカブトムシの様にまとめて飼育することもできるので、卵で取り出さず2令幼虫になってから取り出した方が安全。 常温飼育では2年1越型が多く、温室飼育では1年1越型になる場合もある。 |
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イズミヤマクワガタ (亜種) Lucanus maculifemoratus adachii | |
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体長 | ♂33.8〜70.0mm、♀25.0〜43.9mm (2012年現在の飼育個体最大は♂61.0mm) |
分布 | 伊豆諸島(大島、利島、新島、神津島、三宅島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒褐色。原名亜種に比べて腹部が大きく丸みを帯び、交尾器が大きいのが特徴。♂の大アゴは発達が悪く短めで、耳状突起の張り出しも少ない。各島により若干形態が異なる。 |
生態 | オオバヤシャブシの樹液に集まる。地上を歩行する生態も観察されている。 |