【 コクワガタ 】 Dorcus rectus
亜種 | 棲息地 |
---|---|
◆Dorcus rectus rectus | 北海道、本州、四国、九州 etc |
○Dorcus rectus miekoae | 伊豆諸島(八丈島) |
○Dorcus rectus mishimaensis | 大隈諸島(口永良部島 etc)、男女群島 |
○Dorcus rectus yakushimaensis | 大隈諸島(種子島 etc)、甑島列島 |
○Dorcus rectus kobayashii | トカラ列島(中之島、諏訪之瀬島 etc) |
◆原名亜種 ○亜種 日本産
コクワガタ (原名亜種) Dorcus rectus rectus | |
---|---|
![]() ![]() | |
体長 | ♂17.0〜54.4mm、♀21.6〜33.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂56.6mm) |
分布 | 北海道、本州、四国、九州、飛鳥、粟島、佐渡島、初島、伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島)、隠岐、見島、対馬、壱岐、五島列島(福江島) ※御蔵島産はごく少数の採集例があるのみ (国外では、朝鮮半島、済州島、鬱陵島、中国、台湾にも棲息する) ![]() |
形態 | ♂♀共に黒色〜黒褐色。 ♂の大アゴは先端に鍵状の歯があり、中央やや先端よりに一対の内歯がある。小型の個体では内歯が消失する。 ♀の前胸は光沢があり、上翅に薄い点刻列(スジ模様)を持つ。 |
生態 | 日本国内では最も多く見られるクワガタムシ。 成虫の活動期間は4月〜10月頃まで。 夜間の活動が中心で、日中は樹皮裏や樹洞、木の根元で休むことが多いが、日陰では日中でも樹液に集まっていることがある。 警戒心が強く臆病であまり争うことはないが、大型の個体は好戦的で、体格が同程度であれば相手を挟み飛ばすようにして激しく争う。 産卵形態は材産みで、幼虫は倒木などの朽木に多く見られる。蛹室は朽木内に作り、幼虫期間は1〜2年。 オオクワガタとは近縁種で、稀に雑種が生まれることもあるが、生存率が低く、ほとんどの場合が♂となる。 |
寿命 | 飼育下では、活動を開始してからの成虫寿命は1〜3年で、成虫での越冬が可能。 |
採集 | 【難易度】 ★☆☆☆☆ 標高はあまり関係なく、広葉樹を中心とした雑木林に棲息し、最も個体数が多い普通種。 ルッキング、灯火採集が中心で、九州離島、沖縄諸島産のように果実等のトラップにはあまり集まらない。 樹液の出ている木の樹皮裏や樹洞、木の根元に潜んでいることが多い。 野外では、♂50mm以上の個体は少ない。 幼虫はあらゆる広葉樹の朽木で見られる。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★☆☆☆☆ 飼育は極めて容易で、比較的乾燥にも強い。 ある程度の大きさの容器であれば、♂同士でも複数まとめて飼育することが可能。ケンカはするが、相手に致命傷を与えることはあまりない。 冬はマットを多めに入れ、極度に乾燥しないよう注意すれば、越冬することができる。 ◆産卵方法 【難易度】 ★☆☆☆☆ 産卵形態は材産み。 クヌギ等の産卵木(若干固め〜若干柔らかめ)を適度に加水して、容器内にそのまま入れておけば、容易に産卵させることができる。マットに埋めた部分、出ている部分のどちらにも産卵する。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★☆☆☆☆ 幼虫も非常に丈夫で、発酵の進んだマットでも良く育つ。 菌糸ビン飼育では大型個体が羽化し、材飼育も可能。 ほとんどが1年1化で羽化し、500ccビンのマット飼育でも、状態が良ければエサ交換なしで大型成虫が羽化する。 |
写真 | ![]() |
ハチジョウコクワガタ (亜種) Dorcus rectus miekoae | |
---|---|
体長 | ♂23.0〜49.0mm、♀23.0〜28.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂51.2mm) |
分布 | 伊豆諸島(八丈島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜暗褐色。 原名亜種に比べ若干光沢があり、脚は長め。 ♂の大アゴは原名亜種よりも若干細く、内歯の発達が悪い。 ♀の上翅の点刻は原名亜種に比べはっきりしている。 |
生態 | 日中の活動が中心で、樹上性だが、樹液にはあまり集まらない。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ ルッキング、材割り、灯火採集が中心。樹上のルッキングで採集できるが、樹液に集まっている姿はあまり見られない。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★☆☆☆☆ 原名亜種と同じ。 ◆産卵方法 【難易度】 ★☆☆☆☆ 原名亜種と同じ。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★☆☆☆☆ 原名亜種と同じ。 |
ミシマコクワガタ (亜種) Dorcus rectus mishimaensis | |
---|---|
体長 | ♂18.3〜49.4mm、♀20.6〜31.8mm (2012年現在の飼育個体最大は♂51.4mm) |
分布 | 大隈諸島(口永良部島、黒島、硫黄島、竹島)、男女群島![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色。 原名亜種に比べ若干光沢があり、体型は細く、脚も細長い。 ♂の大アゴは原名亜種よりも若干細く、内歯の発達が悪い、♀の上翅の点刻がはっきりしている等の特徴がある。 |
生態 | 夜間の活動が中心で、タブ、アカメガシワ等の樹液に集まる。 |
採集 | 【難易度】 ★☆☆☆☆ ※2006年より三島村(黒島、硫黄島、竹島)は昆虫採集全面禁止となっている。 |
備考 | 2003年に亜種として記載された。 |
ヤクシマコクワガタ (亜種) Dorcus rectus yakushimaensis | |
---|---|
体長 | ♂21.6〜50.2mm、♀21.8〜30.2mm (2012年現在の飼育個体最大は♂53.5mm) |
分布 | 甑島列島、大隈諸島(種子島、屋久島、馬毛島)![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色。 ♂の大アゴは原名亜種よりも若干細めで、内歯の発達がやや悪い。 トカラコクワガタ、ミシマコクワガタと比較し、光沢が弱い、内歯が発達している等の特徴がある。 |
生態 | 夜間の活動が中心で、タブ、アカメガシワ等の樹液に集まる。 |
備考 | 2003年に亜種として記載された。 |
トカラコクワガタ (亜種) Dorcus rectus kobayashii | |
---|---|
体長 | ♂23.0〜50.7mm、♀24.0〜28.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂53.6mm) |
分布 | トカラ列島(中之島、諏訪之瀬島、悪石島、臥蛇島) ※臥蛇島産はごく少数の採集例があるのみ ![]() |
形態 | ♂♀共に赤褐色〜黒褐色。 原名亜種に比べ体型が細く、光沢が強い。 ♂の大アゴは原名亜種よりも細く、内歯の発達が悪い、♀の上翅の点刻がはっきりしない等の特徴がある。 各島により以下の変異が見られる。 [中之島産] 他産地と比較し、♂の大アゴがやや太め。
[諏訪之瀬島産] ♂の大アゴは細めで、♀の上翅の点刻がやや荒い。
[悪石島産] 他産地と比較し、♂♀共に光沢が最も強い。
|
生態 | タブ、クサギ等の樹液に集まるが、あまり数多く見られない。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ 果実トラップにも集まるが数が少なく、材割りが中心になる。 樹液に集まっている姿はあまり見られない。 ※2004年より十島村(トカラ列島全島)は昆虫採集全面禁止となっている。 |