【 ヒメオオクワガタ 】 Dorcus montivagus
亜種 | 棲息地 |
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◆Dorcus montivagus montivagus | 北海道、本州、四国、奥尻島 etc |
○Dorcus montivagus adachii | 九州 |
◆原名亜種 ○亜種 日本産
ヒメオオクワガタ (原名亜種) Dorcus montivagus montivagus | |
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体長 | ♂22.0〜58.0mm、♀26.3〜42.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂54.0mm) |
分布 | 北海道、本州、四国、奥尻島 (国外では、朝鮮半島、中国にも棲息する) |
形態 | ♂♀共に黒色で、脚(付節/脛節)が長いのが特徴。 ♂の大アゴ形状はオオクワガタに似ており、内側に湾曲し、中央やや先端よりに内側前方向きの内歯を一本有する。 ♀の胸部は若干光沢があり、上翅はツヤ消しで薄い点刻列(スジ模様)がある。 ♀はコクワガタに良く似ているが、前胸背板の後角が深くえぐれている点で区別できる。 |
生態 | 1000〜1500m程度の高標高地域のブナ帯に多く生息している。 成虫の活動期間は6月〜10月頃までで、8月下旬〜9月中旬に最も多く見られる。 日中の活動が中心で、夜間は木の根元で休むことが多い。 ヤナギやカンバ類の比較的細い枝に♂♀ペアでとまっていることが多く、自分で枝を齧ってしみ出た樹液を吸う。 産卵形態は材産みで、幼虫はブナやミズナラ等の立ち枯れや倒木など硬めの材に多く見られる。 蛹室は朽木内に作り、幼虫期間は1〜2年。 |
寿命 | 活動を開始してからの成虫寿命は1〜2年で、成虫での越冬が可能。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ 日中のルッキングが中心で、果実等のトラップには集まらない。 灯火にも集まるが数はあまり多くない。 生息環境は限定的だが、多産地域では多くの個体が集中して見られる。 ♂50mm以上の大型個体は少ない。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★★★☆☆ 高温に弱いため、25℃以下の低い温度で飼育する必要がある。耐寒能力が高く、10℃程度でも活動する。 ◆産卵方法 【難易度】 ★★★★☆ 産卵形態は材産み。マットは黒土や粒子の細かいものを使用し、水分量はやや多めにする。産卵木はやや硬く大きめのブナ材等を使用し、マットに完全に埋めておくのが良い。 20℃以下の低い温度で管理しないと産卵させるのは難しい。 また、産卵に成功しても、産卵数は少ないことが多い。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★★★★☆ 幼虫はマット飼育、またはカワラタケ系菌糸ビン飼育が可能。高温に弱いため、20℃程度の低い温度で管理する必要がある。幼虫は死亡率が高く、羽化させるのは難しい。 |
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キュウシュウヒメオオクワガタ (亜種) Dorcus montivagus adachii | |
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体長 | ♂27.8〜52.0mm、♀28.0〜39.9mm (2012年現在の飼育個体最大は♂50.8mm) |
分布 | 九州 |
形態 | ♂♀共に黒色。 原名亜種と比較し、光沢が無くツヤ消し。また体型が太く短いのが特徴。 |
生態 | 基本的な生態は原名亜種と同じだが、成虫が集まる樹種は異なる。 生息に適した環境が少なく、数もあまり多くない。 |
寿命 | 活動を開始してからの成虫寿命は1〜2年で、成虫での越冬が可能。 |
採集 | 【難易度】 ★★★★☆ 本州のヒメオオクワガタよりも個体数が少なく、棲息地域が局地的なので採集は難しい。 ルッキングでの採集よりも、材割りの方が確率が高い。 ♂45mm以上の大型個体は少ない。 |