【 ネブトクワガタ 】 Aegus subnitidus
亜種 | 棲息地 |
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◆Aegus subnitidus subnitidus | 本州、四国、九州 etc |
○Aegus subnitidus fujitai | 伊豆諸島(八丈島) |
○Aegus subnitidus asaii | トカラ列島(中之島) |
○Aegus subnitidus matsushitai | トカラ列島(臥蛇島) |
○Aegus subnitidus abei | トカラ列島(諏訪之瀬島、悪石島) |
○Aegus subnitidus taurulus | 奄美諸島(奄美大島、加計呂麻島 etc) |
○Aegus subnitidus tamanukii | 奄美諸島(沖永良部島) |
◆原名亜種 ○亜種 日本産
ネブトクワガタ (原名亜種) Aegus subnitidus subnitidus | |
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体長 | ♂13.4〜33.0mm、♀14.0〜17.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂33.1mm) |
分布 | 本州、四国、九州、佐渡島、伊豆諸島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島)、対馬、五島列島、甑島列島(上甑島、下甑島)、大隈諸島(種子島、屋久島、馬毛島、口永良部島、黒島、硫黄島、竹島)、トカラ列島(口之島)![]() |
形態 | ♂♀共に黒色〜暗褐色で光沢がある。 小型の種類で、体型は幅広く、上翅に太く明瞭な条線(スジ模様)を持つ。 ♂の大アゴは緩やかに湾曲し、根元に内側真横を向いた第一内歯、中央付近にやや前方向きに第二内歯がある。 大アゴ先端はあまり鋭くなく、やや丸みを帯びる。 地域により大アゴの形状に若干の変異が見られる。また、小型個体では、第二内歯が完全に消失する。 ♀は頭部、前胸の点刻が荒く、大アゴの内歯が幅広い。スジクワガタ♀と比較し上翅のスジが太く、幅広い体型、大アゴ形状の違い等で区別できる。 |
生態 | 低山地の広葉樹、針葉樹が混在する雑木林に多く見られる。
西日本では広く分布し個体数も多いが、東日本での棲息地は局地的で数もあまり多くない。 成虫の活動期間は6月〜9月頃で、広葉樹の樹液に集まり、樹皮裏や樹洞に潜んでいることが多い。 夜間の活動が中心だが、日中に活動する場合もある。 初夏に羽化した成虫は、発生木周辺で交尾、産卵を終えた後、樹液に飛来すると言われる。 幼虫はマツ、モミ等の針葉樹や広葉樹の倒木が赤枯れし、土化した部分に見られる。幼虫期間は6〜10ヶ月程度で、蛹室は土中で繭玉を作り、その中で羽化する。 |
寿命 | 活動を開始してからの成虫寿命は1〜2年で、成虫での越冬が可能。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ ルッキング、材割り、灯火採集が可能。 比較的低い位置で樹液の出ている樹皮裏や樹洞に潜んでいることが多いが、♀の個体数はやや少ない。 発生時期は♂♀ともに灯火に飛来することがある。 材割りでは、マツ等が赤枯れし土化した部分で成虫、幼虫ともに得られる。 東日本での棲息地は局地的で採集はやや難しい。 ※2008年より伊豆諸島(神津島)ではネブトクワガタ採集禁止となっている。 |
飼育 |
◆成虫飼育 【難易度】 ★★★☆☆ エサは昆虫ゼリーやメロンが若干古くなって発酵の進んだ物を好む傾向がある。 ♂は気性が荒いので、ペアリング時以外は個別飼育が好ましい。 高温多湿及び乾燥には弱いため、25℃程度の低めの温度、適度な湿度で飼育する必要がある。 ◆産卵方法 【難易度】 ★★★★☆ 成虫は羽化してから1ヶ月程度で交尾、産卵が可能。 産卵形態はマット産みで、産卵木は無くても構わない。 かなり発酵の進んだ微粒子マットや、赤枯れマット、他のクワガタ幼虫で使用済みのマット、ネブトクワガタ専用の市販マット等を使用する。マットは水分量を若干多めにし、飼育ケース底面はやや固く詰め、その上は柔らかめに入れておく。 産卵数は非常に多く、100個以上産むこともあるが、マットが適していないと全く産卵しないため、採卵はやや難しい。また、樹液採集、灯火採集で得た野外個体は産卵済みの場合が多いため、産卵数はあまり見込めない。 ◆幼虫飼育 【難易度】 ★★★☆☆ 幼虫はマット飼育のみとなる。 マットは産卵時と同じものを使用するのが良く、産卵セットでそのまま多頭飼育に移行することも可能。 個別飼育する場合の容器は200cc程度のプリンカップで十分で、マットはあまり固く詰めないようにする。 高温に弱いため、25℃程度の低めの温度で管理する。 繭玉を作り蛹になるので、内部の様子は観察できないが、1〜2ヶ月で羽化し繭玉から出てくる。 |
備考 | 中国に棲息するAegus laevicollis の亜種Aegus laevicollis subnitidus とされていたが、2010年に独立種に格上げされた。 |
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ハチジョウネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus fujitai | |
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体長 | ♂13.6〜28.0mm、♀15.0〜18.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂30.2mm) |
分布 | 伊豆諸島(八丈島)![]() |
形態 | ♂の大アゴは内歯の発達が悪く、大アゴ根元外縁が若干えぐれている。 |
生態 | 成虫は倒木の下でよく見られ、樹液にも集まる。 幼虫は倒木下の土化した部分に見られる。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 個体数は比較的多いが、小型の個体が多く、大型はほとんど見られない。 材起こしによるルッキングが有効で、灯火にも飛来する。 |
備考 | Aegus laevicollis fujitai とされていたが、2010年に学名変更となった。 |
ナカノシマネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus asaii | |
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体長 | ♂12.4〜26.8mm、♀12.9〜20.6mm (2012年現在の飼育個体最大は♂26.9mm) |
分布 | トカラ列島(中之島)![]() |
形態 | 原名亜種と比較し、体型はやや細い。 ♂の大アゴは内側に大きく湾曲し、第一内歯は大アゴ内側と同一円弧を描くように形成される。また、内歯の発達が悪い。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ ※2004年より十島村(トカラ列島全島)は昆虫採集全面禁止となっている。 |
備考 | 2004年に亜種として記載された。 Aegus laevicollis asaii とされていたが、2010年に学名変更となった。 |
ガジャジマネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus matsushitai | |
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体長 | ♂12.0〜33.0mm、♀12.0〜22.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂33.0mm) |
分布 | トカラ列島(臥蛇島)![]() |
形態 |
♂の大アゴ形状はナカノシマネブトクワガタに似るが、湾曲がやや弱く、第一内歯はより発達する。 ♂の大型個体は頭部前方に左右一対の小さな突起を有する。 |
採集 | 【難易度】 ★★★★☆ ※2004年より十島村(トカラ列島全島)は昆虫採集全面禁止となっている。 |
備考 | 2001年に亜種として記載された。 Aegus laevicollis matsushitai とされていたが、2010年に学名変更となった。 |
トカラネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus abei | |
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体長 | ♂15.0〜29.1mm、♀14.0〜17.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂30.8mm) |
分布 | トカラ列島(諏訪之瀬島、悪石島)![]() |
形態 | 原名亜種と比較し、体型はやや短い。 ♂の大アゴは亜種中で最も大きく内側に湾曲し、第一内歯の発達が悪く細長い。 悪石島産の方がやや大型で、最大体長29.1mmは当産地の採集個体。 |
生態 | 竹が腐食土化した部分に多く発生するが、大型の個体はほとんど見られない。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ 小型の個体が多く、大歯型の個体は非常に少ない。 ※2004年より十島村(トカラ列島全島)は昆虫採集全面禁止となっている。 |
備考 | Aegus laevicollis abei とされていたが、2010年に学名変更となった。 |
アマミネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus taurulus | |
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体長 | ♂15.0〜36.3mm、♀15.0〜20.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂37.0mm) |
分布 | 奄美諸島(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島)![]() |
形態 | 最も大型になる亜種。 ♂の大アゴは良く発達しており、前胸背板中央の溝が深く、点刻が粗い。 大型個体は頭部前方に左右一対の小さな突起を有する。 |
採集 | 【難易度】 ★★☆☆☆ 個体数は比較的多く、樹液や古くなった果実トラップに集まる。 |
備考 | Aegus laevicollis taurulus とされていたが、2010年に学名変更となった。 |
オキノエラブネブトクワガタ (亜種) Aegus subnitidus tamanukii | |
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体長 | ♂15.0〜33.2mm、♀15.0〜18.0mm (2012年現在の飼育個体最大は♂36.3mm) |
分布 | 奄美諸島(沖永良部島)![]() |
形態 | 形態はアマミネブトクワガタに似るが、体色はやや赤みを帯びる。 ♂の大アゴはやや細く、第二内歯がより発達している。 前胸背板の点刻が強く粗い。 大型個体は頭部前方に左右一対の小さな突起を有する。 |
採集 | 【難易度】 ★★★☆☆ |
備考 | Aegus laevicollis tamanukii とされていたが、2010年に学名変更となった。 |